2011 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックな染色体構造変化を介した遠隔エンハンサーによる遺伝子発現制御機構
Project/Area Number |
21247002
|
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
城石 俊彦 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (90171058)
|
Keywords | 遺伝 / ゲノム / 進化 / 動物 / 発生・分化 |
Research Abstract |
1.上皮シス制御配列とShh遺伝子座周辺の染色体構造変化の解析 前年度に引き続き、肺・消化管上皮エンハンサーMACS1の3D-FISHによる染色体動態の解析を行った。Shh発現のある消化管上皮細胞では、MACS1配列とShhプロモーターとの物理的接近が観察されたが、同一組織において肢芽特異的エンハンサーであるMFCS1配列とShhプロモーターの物理的接近はみられなかった。この結果から、Shh遺伝子周辺では、組織特異的に各遠隔エンハンサーとプロモーターの相互作用が起こっていることが示された。消化管上皮でのShh発現は複数のエンハンサーによって制御されていることが示唆されていたが、Tgマウスによるレポーター発現解析を行い、Shhプロモーター上流950Kbの部位に進化的保存性を示さない消化管上皮特異的な第2のエンハンサーがあることを見出した。 2.CTCFの染色体動態における役割の解析 CTCF遺伝子の条件付KOマウスを作製し、肢芽間充織特異的にCre組換え酵素を発現するマウスと交配して肢芽の間充織でのみ特異的にCTCFタンパ質を欠損するマウスを作出した。このマウスで、現在Shh発現とShh遺伝子周囲の染色体高次構造変化を3D-FISH法と3C法で評価している。 3.Shh発現制御の上流因子の探索 レポーター発現解析とKOマウスの表現型解析から肺・消化管上皮エンハンサーMACS1は単独で喉頭上皮のShh発現を制御することが明らかになった。この配列上の転写因子結合部位をTgアッセイによって探索し、転写因子Foxの結合モチーフを検出した。喉頭上皮からmRNAを調整してマイクロアレイ解析を行い、Fox遺伝子が将来喉頭上皮となる組織に発現していることがわかった。以上から、喉頭上皮でのShh発現を転写因子Foxが制御する可能性が考えられる。
|
Research Products
(3 results)