2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21247035
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 淑子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (10183857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 大介 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (90403360)
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Keywords | 器官ネットワーク / 神経 / 血管 / 細胞挙動 / 空間配置 |
Research Abstract |
脊椎動物の体内で始めに作られる血管である背側大動脈と、その機能を支配する交感神経をモデルとして、血管-神経パターンの確立機構を研究してきた。我々はこれまでに、ケモカインStromal cell-derived factor-1(以下、SDF-1)のレセプターであるCXCR4を欠損するマウス胚において、交感神経が激減し、かつ肋間血管の不形成が起こることから、背側大動脈-交感神経パターンの確立にSDF-1/CXCR4シグナルが重要であることを見出してきた。本研究において我々は、背側大動脈の移植実験や遺伝子強制発現実験等を通して、背側大動脈が交感神経を誘引すること、背側大動脈周辺間充織で発現するSDF-1が交感神経を誘引する責任分子であること、さらに、背側大動脈から放出されるBMPリガンドが周辺の組織にSDF-1の発現を誘導することで、交感神経が背側大動脈まで移動することを明らかにした。 次に、背側大動脈壁からの肋間血管の伸長には、背側大動脈まで移動してきた交感神経が必要であることが、交感神経の除去実験から明らかとなった。さらに、この伸長過程には、肋間血管の細胞でのSDF-1シグナルの活性化と、それに伴う細胞間接着の変化が重要であることが見えてきた。この一連の研究成果は、背側大動脈と交感神経は双方向の作用を及ぼし合うことでそれぞれのパターンを協調的に作り上げること、またその相互作用を担うケモカインシグナルの重要性を提出するものである。
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