2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21248028
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
生源寺 眞一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (40196580)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糸長 浩司 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (10184706)
山路 永司 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (10143405)
柏 雅之 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40204383)
能美 誠 鳥取大学, 農学部, 教授 (00202250)
星野 敏 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (60192738)
横張 真 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (60302379)
國光 洋二 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所, 上席研究員 (30360390)
中嶋 康博 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (50202213)
山岡 和純 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 研究戦略室, 研究コーディネーター (70463883)
浅野 耕太 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (50263124)
青柳 みどり 独立行政法人国立環境研究所, 社会環境システム研究センター, 室長 (70175751)
金田 憲和 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (80233857)
一ノ瀬 友博 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (90316042)
中塚 雅也 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (40432562)
八木 洋憲 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (80360387)
重岡 徹 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所 農村基盤研究領域, 主任研究員 (40527024)
|
Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 農業経済学 / 環境 / 国土整備 / 環境調和型農林水産 / 環境政策 |
Research Abstract |
研究目的に示した研究課題に経済・環境・コミュニティの3方向からアプローチした。 経済班は次の成果をあげた。①成熟時代の到来に向けた農業・農政・農村計画のあり方について考察。②小学校統廃合の経済的有利性に関してモデル分析。③動学応用一般均衡モデルにより農業基盤投資と直接支払い政策の影響を分析。 環境班は次の成果をあげた。①福島県会津若松市で農家インタビューを実施し、地域アイデンティティとしての農村景観の認識構造と社会・経済情勢の変化との関係を解明。②農業再建の基礎となる営農の大規模化に関して、圃場整備の観点から検討。③東日本大震災により甚大な被害を被った自治体を対象に、復興計画における自然環境への配慮を分析。④中山間地域において放牧等を活用した粗放的管理の成立可能性および直接支払制度や空間情報の活用の意義を解明。 コミュニティ班は次の成果をあげた。①鴨川市の近世牧の保全と活用策を提示。②対馬でツシマヤマネコと共生する田のオーナー制を確立。③藤沢市の都市近郊農地の価値と保全活用策を明確化。④農業水利施設の維持管理に関する農家意識が、社会実験の前後でどう変化したかを検討し、合意形成上の課題を摘出。⑤高齢化農山村地域において、地域SNSなどの新たなコミュニティ形成手法を試行し、その有効性と課題を検討。⑥担い手及び地域コミュニティのエンパワーメントという観点から社会関係資本の蓄積と官民による投資の相乗効果に関する調査を実施。⑦ジェンダー問題を念頭においてリスク・ガバナンスと気候変動に対する適応の関連を検討。⑧「地域おこし協力隊」など地域外からの人的資源の導入方策と多様な主体による地域知識管理システムを分析し、行政支援の要点と課題を摘出。⑨戦後日本社会に於ける「ふるさと」意識の変遷について考察し、現代の日本人の「ふるさと」観が新たな農村-都市関係を構築しうる可能性を展望。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中山間農村および都市近郊農村を研究対象として、具体的にはインドネシア国ロンボク島、藤沢市、相模原市、鴨川市、対馬市等で行っている調査はほぼ完了し、知見が蓄積されてきている。併せて、被災地の復興計画も研究対象の視野に収めることができている。農村資源の維持管理と計画上の課題については、現地調査やアンケート調査により網羅的に分析を進め、その整理は十分できた。小地域統計データによる地域分析、インタビュー調査やアンケート調査による集落分析、経営分析など多角的に成果を上げている。それ以外に地域ナレッジの有用性、地域コミュニティのエンパワーメントについて重要な知見を得ることができた。調査研究は全体として順調に進捗しており、速報性の高いものを含めて、研究成果は順次公表されているため、上記のように判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年は最終年度であり、研究分担者のこれまでの研究成果に目を配りながら、研究総括を行うこととする。 経済班においては、農村資源の維持管理と利用について、農業生産と地域振興の観点から農地など資源利用と6次産業化等の政策に留意しながら、とりまとめる。具体的には、①動学応用一般均衡モデルを改良し、農業生産基盤整備のような財政政策と直接支払い政策の影響を比較し、政策的な含意をまとめる。②小学校統廃合の経済的有利性に関して、中長期的な児童数変化を考慮して行った分析結果を、児童数減少地域における実際の対応状況も踏まえてまとめていく。③地域資源管理に関わる追加調査を実施し,ミクロレベルから地域レベルまでの地域計画論的検討を行う。④受委託について、現状の整理を進める。⑤都市農村交流による活性化についても考察を進める。 環境班においては、①藤沢市、相模原市、鴨川市、対馬市で継続して農・歴史・生物との共生再生手法の意義を明確にする。②気仙沼市舞根地区で自然環境の再生と高台移転後の低地の利用について、調査分析を行う。③農村景観保全に関する既存制度の課題を把握し、政策提言につなげる。 コミュニティ班においては、①ナレッジマネジメントを導入した農村計画論の有用性を明らかにし、その展開方向を提示する。②これからの農業・農村の維持活性化に女性のパワーは必要不可欠であり、現実に地域の中心となっている。これらの力を意思決定に生かす方策を探る。③行政施策と人材の定着、知識の共有の関係性を明確にする。④住民参加による農村自主防災の展開、農地・水保全管理支払制度の推進、集落営農計画の立案などに実践的に関わりながら、住民の「我がこと観」の形成過程を観察し、広域コミュニティ形成の基盤となる新たなコミュニティ意識の醸成についての地域社会論を展望する。
|