2011 Fiscal Year Annual Research Report
アジア地域農村におけるハイブリッド型貧困削減戦略に関する行動経済学的研究
Project/Area Number |
21248029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福井 清一 京都大学, 農学研究科, 教授 (90134197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅見 淳之 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60184157)
三輪 加奈 釧路公立大学, 経済学部, 講師 (00552001)
亀山 宏 香川大学, 農学部, 准教授 (70177608)
首藤 久人 筑波大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (40292792)
藤田 幸一 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (80272441)
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Keywords | 貧困削減プログラム / リスク・シェアリング / 信頼 / 地域資源 / 社会関係資本 |
Research Abstract |
平成23年度の主要な研究成果は、以下のとおりである。 1.インドにおける食用穀物の公的分配システムが、貧困層の栄養摂取に、どのような影響を与えるかについて、アンドラ・プラデーシュ州における家計調査のデータを利用して計量分析を行い、公的分配システムによる分配への外生的制約が、穀物購入数量に有意な影響を与えていないことを示した。本研究は、従来、あまり注目されてこなかった公的分配システムの問題点に踏み込んだ研究と意義は大きい。 2.中国北京市郊外において発展しつつある郷村観光法人(合作社と有限会社)を比較し、農家楽に従事する住民の割合、リーダーの性格、設立の目的などが、組織形態の相違をもたらした要因であることを明らかにした。本研究は、中国における地域資源利用型農村振興を考える上で、重要な貢献といえる。 3.中国においては、礼をはじめとする儒教倫理にもとづく社会関係資本の蓄積が、農地流動化の決定因として重要な役割を果たしているという仮説を立て、中国湖南省における実態調査にもとづき、社会的要因による取引費用が農地流動化の阻害要因となっていることを明らかにした。本研究は、中国における農地流動化と社会関係資本との関係を分析した独自性のある研究である。 4.カンボジア農村における子供の健康・栄養状態と、予期できない種々のショックとの間の関係を、実態調査により収集したデータにもとづき分析し、家計員の疾病や農作物被害などのショックによる影響は認められず、失業や資産の盗難などの経済的ショックによる影響が深刻であることを示した。本研究は、カンボジア農村で、子供の健康とショックとの関係を分析した初めての研究である。
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