2010 Fiscal Year Annual Research Report
高病原性鳥インフルエンザウイルスの細胞侵入、感染増悪機序を基盤とした新治療法開発
Project/Area Number |
21249061
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木戸 博 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 教授 (50144978)
|
Keywords | 高病原性鳥インフルエンザ / プロセシングプロテアーゼ / 多臓器不全 / サイトカインストーム / トリプシン / MMP-97 / ミトコンドリア膜電位 / ATP産生 |
Research Abstract |
1)高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染性を決定する細胞膜上の新規宿主プロテアーゼMSPL/TMPRSS13を発見し、その阻害剤をスクリーニングした。プロテアーゼの遺伝子を持たないインフルエンザウイルスが感染性を示すには、ウイルス膜蛋白のプロテアーゼでヘマグルチニン(HA)が限定分解され、膜融合活性が発現されなくてはならない。高病原性鳥インフルエンザのHAはFurinで切断される以外に、細胞膜上のMSPLとTMPRSS13がその役割を担っていることを証明し、J. Vilologyに発表した。 2)多臓器不全の発症機序:インフルエンザ感染による死は多臓器不全の結果である。多臓器不全は、感染局所で生じた炎症性サイトカインにより全身臓器の異所性膵TrypsinとMMP-9が異常増加した結果による血管内皮細胞の透過性の亢進と組織破壊、増加したTrypsinによる細胞内Caの異常増加に伴う機能の変化、特にミトコンドリア膜電位の低下とATPの産生低下が引き起こされてエネルギー危機に陥る。これらの関連をインフルエンザウイルス-サイトカイン-プロテアーゼ サイクル説として、J.Infect. Dis.誌に、さらにこの機序に基づくインフルエンザ心筋炎の発症機序をCardio Vascular Resに発表した。さらに治療法として、ATP増加を導く代謝的治療法改善薬を発見することができた。
|
Research Products
(16 results)