2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体侵襲・生体反応相互作用から生じる臓器不全の病態解明とその予防・治療体系の確立
Project/Area Number |
21249086
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
丸藤 哲 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30125306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JESMIN SUBRINA 国立国際医療センター, 遺伝子診断治療開発研究部, 室長 (60374261)
澤村 淳 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00241448)
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Keywords | 生体侵襲 / 生体反応 / DIC / 臓器不全 / 外傷 |
Research Abstract |
昨年に引き続きLPS静注ラット敗血症モデルを使用してvascular endothelial growth factor(VEGF)と臓器不全発症の関連を検討した。VEGFは敗血症において臓器不全発現に関与していることが報告されている。 目的:LPS静注ラット敗血症モデルにおいて我々はすでに心筋VEGFの減少を認め、この結果心筋細胞Caトランジェントの変化を起こして心機能抑制が起こることを証明している。今回は標的臓器を心臓として、炎症性サイトカインMacrophage migration inhibitory factor(MIF)がこのVEGF関連心機能抑制にどのように関与しているかを明確にすることを目的とした。 方法および結果:雄性ウィスターラットにLPS(15mg/kg)を静注して敗血症を作成した。同時に抗MIF抗体あるいはisotpye-matched IgG抗体を対照として静注した。抗MIF抗体はin vivo,in vitroでMIF作用に拮抗することが証明されている。心機能評価にはラット用心エコーを使用した。アポトーシスへの影響を確認するために抗アポトーシス蛋白Bcl-2およびアポトーシス誘導蛋白Baxを測定した。抗MIF抗体はLPSによる心機能抑制を制御することを心エコーで確認した。同時に抗MIF抗体は心筋VEGF発現をmRNAおよび蛋白レベルで抑制し、Bcl-2/Bax蛋白比を増加させた。 考察・結論:MIFはVEGF発現抑制を介してLPSによるラットの心機能抑制を引き起こすことが明らかになった。この機序の一つとしてLPSによる心筋細胞アポトーシス誘導の関与が示唆された。MIFの制御が敗血症性心機能抑制を制御する可能性が示唆され、今後の臨床応用が期待される。
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Research Products
(8 results)