2011 Fiscal Year Annual Research Report
国家社会システムの転換と政党の変容・再生―ポスト新自由主義期中南米の比較研究
Project/Area Number |
21252002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 勇介 京都大学, 地域研究総合情報センター, 准教授 (70290921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新木 秀和 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (80276039)
浦部 浩之 獨協大学, 国際教養学部, 准教授 (30306477)
遅野井 茂雄 筑波大学, 人文社会科学研究科, 教授 (60257441)
狐崎 知己 専修大学, 経済学部, 教授 (70234747)
高橋 百合子 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (30432553)
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Keywords | 民主主義 / 政党システム / 国際社会関係 / ポスト新自由主義 / ラテンアメリカ / 政治参加 / 社会運動 / 左派 |
Research Abstract |
本年度は、研究の最終段階にあたった。現地での補足調査を実施するとともに、他地域との予備的な比較による理論化の方向性を考察する段階であった。補足調査は、前年度の中南米に関する比較研究をまとめる段階で発見された必要性に応じて実施した。補足調査の結果を受け、中南米に関する研究成果と分析枠組みの完成を確認した。そして、年度の後半に東南アジアおよび南アジアとの比較研究を行い、調査研究の結果と比較分析枠組みの一般化の方向性を探求した。 本研究は、政党システムの安定化と不安定化を分かったものとして、新自由主義改革の開始時期の差に着目した。つまり、安定化にある国では、同改革が、民主主義への移行に先立つ非民主的な政権や体制の下でかなりの程度進められた。移行の過程で、新自由主義への批判の受け皿となる左派政党が、民政移管推進勢力の一部として地歩を固め、民政移管後に政党システムの一部を形成した。そうした左派政党は、今世紀の新自由主義批判の文脈では、穏健左派となった。これに対し、不安定化した国では、民政移管後、あるいは長く続いてきた二大政党制の下で、新自由主義改革を推進する必要性に迫られた。そして、新自由主義改革が進められ一段落した段階でそれに対する不満や批判が拡大し始めた時、その受け皿となる左派政党は存在しなかった。これらの国では、左派政党は、新自由主義改革実施の前までに衰退したか、同改革を推進ないし継承した連合政治の一翼だったため信頼を失ったか、二大政党を前に存在が薄かった。そうした状況のなかから、急進左派が登場する例も観察された。
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Research Products
(14 results)