2011 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体への変性タンパク質蓄積抑制機構-抗脳変性疾患薬創製の基盤研究
Project/Area Number |
21300142
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Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
野村 靖幸 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (00034041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大熊 康修 千葉科学大学, 薬学部, 教授 (20127939)
高橋 良輔 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90216771)
金子 雅幸 千葉科学大学, 薬学部, 准教授 (10322827)
友部 浩二 横浜薬科大学, 講師 (80460286)
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Keywords | ユビキチンリガーゼ / 神経変性疾患 / ERAD / 小胞体ストレス / アルツハイマー病 / ケミカルシャペロン / 構造活性相関 / パーキンソン病 |
Research Abstract |
私たちはこれまで、ERADに関与する新規のユビキチンリガーゼの中から、RNF19BおよびRNF19Bと相同性が高いDorfin(RNF19A)が、Aβの産生機構に関与することを見出した。そこで、RNF19BとDorfinが、Aβの産生におけるいずれのステップに関与するか検討したところ、γ-セクレターゼによるAPPのC末端断片(CTF)の切断に関与することが明らかとなった。そこでさらに、同じγ-セクレターゼの基質であるNotch切断へのRNF19BとDorfinの関与を検討したところ、Notchの切断には影響しないことが証明された。これらの結果より、RNF19BとDorfinは、γ-セクレターゼによるAPP特異的なプロセシングに関与することが示された。したがって、RNF19BやDorfinもしくはその関連分子をターゲットとした薬物は、これまで副作用が問題となっているγ-セクレターゼ阻害薬とは異なり、Notchに影響しないAβ産生抑制薬として、新しいアルツハイマー病治療薬となる可能性が考えられる。 これまで私たちは、タンパク質凝集抑制作用を有するケミカルシャペロンの一つである4-フェニル酪酸(4-PBA)の誘導体を合成し、in vitroにおいてその凝集抑制作用ならびに神経細胞死に対する保護作用を検討してきた。今回は、新たな誘導体を合成し、変性タンパク質の凝集抑制作用をin vitroで検討し、さらにパーキンソン病発症の原因の一つとされるPael受容体の蓄積に由来する神経細胞死について、培養神経細胞を用いて、細胞死保護作用を検討した。その結果、各種構造によりタンパク質凝集抑制作用が異なり、4-PBAより高活性の誘導体が得られた。また、小胞体ストレス抑制作用やPael受容体の蓄積に関しても、4-PBAより作用の強い誘導体が得られ、これら新規化合物の神経変性疾患治療薬への応用が期待できる。
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Research Products
(26 results)