2009 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類エイズモデル感染病態に関わるウイルスゲノム基盤に関する研究
Project/Area Number |
21300152
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 智行 Kyoto University, ウイルス研究所, 准教授 (40202337)
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Keywords | エイズ / 動物モデル / 感染症 / 病原性 / アカゲザル |
Research Abstract |
HIV-1が感染する動物種は限られていることから、我々はHIV-1に近縁なサル免疫不全ウイルス(SIV)の外皮蛋白(env)遺伝子を中心とした約半分のゲノム領域をHIV-1のものと置き換えたサル/ヒト免疫不全キメラウイルス(SHIV)によるサルエイズモデルを開発した。近年、HIV-1のenv遺伝子により決定されるセカンドレセプター(CCR5やCXCR4)指向性によって感染個体における標的細胞や病態が大きく異なることが明らかになった。本年度は、感染伝播と感染後の病原性に重要なCCR5指向性SHIVによるサルエイズモデルの確立を目的とした。CXCR4指向性強毒SHIV-KS661のV3領域に変異を導入しCCR5指向性に改変した。この変異体ウイルスをアカゲザルに静脈接種し、経時的に血漿中ウイルスRNA量や血中と小腸におけるリンパ球サブセットの解析を行った。その結果、接種した4頭中3頭のサルで感染12週までに血中のウイルスRNA量が検出限界以下まで減少したが、1頭のサルでは12週以降も10の3乗~10の4乗copies/ml程度のウイルスRNA量を維持した。CD4陽性T細胞の減少はメモリーT細胞の割合が多い小腸において顕著にみられたが、血中においては緩やかな減少傾向を見せた。ウイルスRNA量を維持したサルから別のサルヘウイルスの継代を行ったところ、3代目のサルにおいて高い血中ウイルスRNA量のピークと維持、小腸での著しいCD4陽性T細胞の減少が観察された。以上、新規CCR5指向性SHIVを作製し、アカゲザルへの順化を行った。よりよいワクチン評価系の確立が期待される。
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Research Products
(4 results)