2010 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類エイズモデル感染病態に関わるウイルスゲノム基盤に関する研究
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21300152
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 智行 京都大学, ウイルス研究所, 准教授 (40202337)
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Keywords | エイズ / 動物モデル / 感染症 / 病原性 / アカゲザル |
Research Abstract |
HIV-1はヒトとチンパンジーにしか感染しないことから、サル免疫不全ウイルス(SIV)とHIV-1のゲノムの一部を組換えたサルヒト免疫不全ウイルス(SHIV)がエイズのモデル系として使用されてきた。これまでに作製されたSHIVは分子クローン由来であるが、HIV-1は元来、多様性を保持した変異集団であり、このことがウイルスの適応度を高める要因の一つと考えられる。また、HIV-1の感染にはCD4の他にケモカイン受容体が必要であり、CCR5を利用するR5型ウイルスが、感染伝播と感染個体内での病態に重要なウイルスと考えられるが、既存のSHIVはCXCR4を使用するX4型ウイルスが多かった。一方、全ゲノムの93%がHIV-1で構成されサルに感染しうるHIV-1-NL-DT5Rが足立らによって構築されたが、このウイルスはX4型であり、サルにおける増殖能はまだ不十分である。そこで本年度は、サル個体内で馴化させることにより増殖能が向上し、遺伝的多様性を蓄積したR5型SHIV-MK38のenv領域をNL-DT5Rに組み込んだ新規ウイルスDT5R-MK38を相同組換え法により作製した。遺伝子解析を行ったところ、DT5R-MK38の組換えポイントは重複領域内に複数箇所存在し、SHIV-MK38の多様性の一部を保持していた。独立に作製したウイルス間でMK38の多様性の異なる系統を継承することがわかり、それらを混合することにより、元のMK38の遺伝的多様性を再構築できるものと考えられた。このウイルスをアカゲザルの末梢血単核球(PBMC)を用いて順化を試みたところ、CD8を除去したアカゲザルPBMCで安定して増殖するようになった。今後、サル個体で高増殖能を保持するウイルスが得られれば、エイズの病原性解明やワクチン、薬剤開発に貢献するものと期待される。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Evaluation of the immune response and protective effects of rhesus macaques vaccinated with biodegradable nanoparticles carrying gp120 of human immunodeficiency virus.2010
Author(s)
Himeno, A., Akagi, T., Uto, T., Wang, X., Baba, M., Ibuki, K., Matsuyama, M., Horiike, M., Igarashi, T., Miura, T., and Akashi, M.
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Journal Title
Vaccine
Volume: 28
Pages: 5377-5385
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] In vivo analysis of a new R5 tropic SHIV generated from the highly pathogenic SHIV-KS661, a derivative of SHIV-89.6.2010
Author(s)
Matsuda, K., Inaba, K., Fukazawa, Y., Matsuyama, M., Ibuki, K., Horiike, M., Saito, N., Hayami, M., Igarashi, T., and Miura, T.
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Journal Title
Virology
Volume: 399
Pages: 134-143
DOI
Peer Reviewed
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