2010 Fiscal Year Annual Research Report
MRIを用いた生体組織における各種物理特性の異方性に関する検討
Project/Area Number |
21300162
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 哲也 京都大学, 情報学研究科, 教授 (00209561)
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Keywords | MRI / MR Elastography / 弾性テンソル / 組織異方性 |
Research Abstract |
テンソル面像(DTI)法は水分子の拡散が組織の構造によって異方性を示すことを利用したMRI撮像法で、神経組織を対象に臨床応用も試みられているが、本研究では弾性あるいは音響特性、電気的なインピーダンス特性など、拡散以外にも組織が有する物理特性を対象としてテンソル画像を作成することにより組織構造や異方性を可視化することを目的とする。我々は既に臨床用MRI装置で脈弾性画像(MRE)の撮影を実現しており、平成21年度には細胞スケールに匹敵する数十ミクロンの高い空間分解能を持った7T動物用MRI装置によるMRE撮影を試みたものの、臨床用MRI装置におけるMREの場合よりも弾性波の波長が短い高周波の振動を与える必要があったため、MREについては動物用MRI装置における撮像環境の構築にとどめ、MRIによる組織の電気的インピーダンス計測法(MREIT)の基礎検討を計画から前倒しで着手し直流電流を通電した際の画像化までを完了した。平成22年度には7T動物用MRI装置によるMRE撮影を実現するため、百Hz以上の振動を発生する圧電素子を用いて、ポリアクリルアミド製のファントムにおける縦波のMRE画像の撮影に成功した。MRE, MREITともに、方向による差異を確認するには至っていないが、基礎的な撮影環鏡は整ったと考えられる。本研究では、MRE, MREITをはじめとする様々なMRI画像から多次元テンソルを算出するための画像処理方の開発も必要であり、21年度は拡散テンソル画像を対象としたテンソルの精度評価をシミュレーションにより行い、この結果に基づいて22年度には心臓の運動を詳細に描出するタギングMRI法を用い組織の異方性を立体的に表現する可能性を検討することによって心筋組織の収縮運動に関する3次元異方性を学術誌に報告するに至った。研究の開始当初はMREあるいはMREITなどの特殊な撮影法に限定していたが、タギングMRI法も研究対象に加え、細胞配列の異方性推定の可能性について検討を続ける。
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