2011 Fiscal Year Annual Research Report
MRIを用いた生体組織における各種物理特性の異方性に関する検討
Project/Area Number |
21300162
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 哲也 京都大学, 情報学研究科, 教授 (00209561)
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Keywords | MRI / MR Elastography / 弾性テンソル / 組織異方性 |
Research Abstract |
拡散テンソル画像(DTI)法は水分子の拡散が組織の構造によって異方性を示すことを利用したMRI撮像法であるが、本研究では弾性あるいは音響特性、電気的なインピーダンス特性など、拡散以外にも組織が有する物理特性を対象としてテンソル画像を作成することにより組織構造や異方性を可視化することを目的とする。昨年までに組織の弾性特性を計測するMR Elastograohy法、電気的インピーダンス特性を計測するMR Electrical Impedance Tomography(MREIT)法の開発を行ってきたが、最終年度の本年度は研究の最終目的である異方性の可視化を最優先課題とし、これまでの開発過程から実現の可能性が最も高いと期待されたMREIT法を用い、異方性を有する組織として鶏肉を対象とする撮影実験を進めた。一辺が2cmの立方体状の鶏肉に対して筋線維方向とその直交方向に、それぞれ5Vの直流電圧を与えて得られた電流密度分布像を比較すると、前者では筋線維方向に沿って電流が集中ずるが、後者では電流密度分布が筋線維方向に広がる様子が捉えられ、筋線維を横切る方向に比べて筋線維方向の電気的インピーダンスが低いことが示唆された。このような実験結果は、鶏肉全体を対象に筋線維方向と直交方向で電気抵抗値を直接測定した確認実験結果と一致していた。さらに、筋組織の小部分における異方性を推定するため、得られた電流密度分布像に基づいて有限要素解析を試みたが、各部分の異方性テンソルの導出は困難で、組織の不均一性が原因と考えられた。MRE法の開発については縦波の描出によるヤング率の計測が7T動物用MRI装置で可能となったが、異方性を検出するまでには至らなかった。今年度の研究成果により、弾性特性についてほ組織の異方性を確認できなかったものの、電気的インピーダンスについては、マクロの異方性を確認でき、今後、組織レベルの異方性検出の可能性が確認できた。
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