2010 Fiscal Year Annual Research Report
水素発生源として水素貯蔵合金を使った新規ピンポイント癌治療法の開発
Project/Area Number |
21300170
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
香川 明男 長崎大学, 生産科学研究科, 教授 (00093401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 泰 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (20206907)
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Keywords | 水素貯蔵合金 / パラジウム / ニッケル / 正常細胞 / 癌細胞 / スーパーオキシド |
Research Abstract |
本年度はPd-5%Ni合金を用いて正常細胞と癌細胞への効果の違いを種々の正常細胞3種(MDCK,NIH3T3,GP8)と癌細胞4種(HeLa,H1299,SW,DLD1)について調べた。正常細胞のGP8(脳血管内皮細胞)において生存率に有意差がみられた。また、癌細胞ではSW(大腸癌細胞)において逆に死滅効果が認められなかった。これより細胞種により放出水素の効果が異なることが知られた。死滅効果の選択性を調べるために、子宮頚癌細胞(Hela)と正常細胞MDCK(腎上皮細胞)を混ぜた培養細胞実験を行った結果、合金試料から2-3mmの領域において癌細胞のみの死滅が確認された。次に、針状試料(直径1mm、長さ5mm)を作製し、癌細胞の死滅範囲を調べたところ、半径方向には2-3mmの領域で癌細胞の死滅が確認されたが、針の先端部の死滅範囲は小さくなることが知られた。これよりラット実験においては癌細胞の大きさに対応した長さが必要となることが示唆された。現在進めている子官頚癌細胞(Hela)を移植したラットを使った動物実験における癌細胞の大きさは約1cmであることから、今回の針状試料の形状は今後改良する必要がある。もう一つの問題点は瘤状の癌細胞の完全死滅には針を複数本打ち込む必要があることである。従って、今後の動物実験での癌死滅効果の検証においては、汎用性の点からも注射針で患部に適量の水素を放出できる薬液の形態が望まれる。このため、次年度においては微粉末状の合金試料について水素の放出挙動ならびに癌細胞への死滅効果を調査する予定である。さらに、癌死滅機構解明のための研究においては合金表面からの放出水素ラジカルの定量測定ならびに培養細胞中での発生ラジカル種の同定実験等を継続して行う。
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Research Products
(1 results)