2010 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷者の麻痺部筋肉トレーニングの効果に関する研究
Project/Area Number |
21300229
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山崎 昌廣 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (40128327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船瀬 広三 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (40173512)
和田 正信 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (80220961)
石井 良昌 広島大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (00397978)
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Keywords | 脊髄損傷 / 筋萎縮 / MRI測定 / 筋電図 / 筋小胞体 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は(1)ヒト脊髄損傷者(脊損者)を対象として,下肢麻痺筋の残存筋量と筋活動の関係を明確にすること,及び(2)ラットを用いて脊損の筋小胞体(SR)のCa取り込み速度への影響を明らかにすることであった。ヒト実験の被験者は脊損者11名であった。各被験者の下腿中央部のMRI画像から筋の断面積を求め筋量とした。筋活動としてヒラメ筋・腓腹筋及び前脛骨筋からM波及びH波を導出した。M波の反応が認められた被験者は4名であり,そのうち1名はH波の反応も認められた。残りの7名にはM波及びH波とも観察されなかった。被験者をM波が観察された群(M群)とされなかった群(N群)に分け,下肢筋量,下肢の太さ等の群間比較を行った。M群には下肢に痙性が認められる者が含まれていたのに対し,N群には痙性が起こる者は含まれていなかった。下腿中央部周径は両群とも同じような値を示したが,前脛骨筋及び腓腹筋の断面積はM群が大きい値を示した。しかしながら,筋の断面積には両群間に有意差が認められず,筋量とM波の出現との間に明らかな関係を見出すことはできなかった。むしろ,M波の出現には痙性による筋収縮の影響が大きいことが示された。ラット実験では実験(E)群とコントロール(C)群に分け,実験群には胸髄をTh6-12間で切断する手術を施した。術後20日(C-20およびE-20),40日(C-40およびE-40)及び60日(C-60及びE-60)に腓腹筋表層部を摘出し,筋に含まれるSR Ca2+-ATPaseの含有量を測定した。それぞれのC群に対する割合はE-20で65.0%,E-40で73.1%,E-60で47.0%であり,C群とE群との差異は統計的に有意であった。これらのことから,平成21年度の実験でみられたSRのCa2+取り込み速度の低下に,酵素タンパク量の低下が寄与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)