2010 Fiscal Year Annual Research Report
無意識的知覚の運動反応促進効果にかかわる認知・情動処理過程の検討
Project/Area Number |
21300230
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
今中 國泰 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (90100891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 貴広 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (30433171)
西平 賀昭 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (20156095)
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Keywords | 無意識的知覚 / 運動反応 / 認知 / 情動 / 情報処理 |
Research Abstract |
本研究では、無意識的知覚が認知や情動の処理過程あるいは運動準備過程にどのようにかかわっているのかを検討することを目的とし、初年度からの継続実験として、平成22年度は、以下の手順で情動刺激処理の運動反応に対する影響についての実験を実施した。 情動刺激の選定.H21年度はFlorida大学の情動刺激を用いたが、情動刺激としての影響度が期待通りの大きさに至らなかったことから、H22年度は怪物(モンスター)の顔20刺激を用いた。人の顔を比較刺激として用いた。実験後に怖さに関する20点満点評価を各実験参加者に実施したところ、怪物の顔は11.4、人の顔は1.0と有意に大きな差が示された。これらの刺激を用い、以下の反応時間課題を実施した。なお、怪物、人、それぞれの統制条件刺激として、各画像をランダム分割・再配置したスクランブル画像を用いた。 実験課題.Go/NoGo課題による反応時間課題を実施し、顔画像あるいはスクランブル画像に反応(Go)あるいは無反応(NoGo)させる選択反応課題とした。人の顔と怪物の顔への反応課題は目を替えて実施した。 結果と考察.反応時間(RT)について2要因分散分析を行ったところ、人の顔には顔とスクランブル画像間に有意な差がみられ、顔に対する反応時間が有意に長かった。怪物画像に関しては有意差は認められなかった。また、画像とスクランブル刺激のRT差(dRT=スクランブルRT-顔RT)を求め比較したが、有意な主効果、交互作用は認められなかった。さらに全被験者のRTの中央値を基準に長RT群、短RT群に分けてdRTを検討したところ、長RT群については人も怪物いずれもdRTが大きく、人および怪物の顔いずれにもスクランブル画像よりも長い処理時間がかかることを示した。短RT群についてみると、人の顔のdRTは大きかったが怪物についてはdRTはほぼ0であった。すなわち、短RT群では怪物の顔の処理はスクランブル刺激と同等の時間で処理されていることがわかった。
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Research Products
(5 results)