2011 Fiscal Year Annual Research Report
無意識的知覚の運動反応促進効果にかかわる認知・情動処理過程の検討
Project/Area Number |
21300230
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
今中 國泰 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (90100891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 貴広 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (30433171)
西平 賀昭 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (20156095)
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Keywords | 無意識的知覚 / 運動反応 / 認知 / 情動 / 情報処理 |
Research Abstract |
本研究では、無意識的知覚が認知や情動過程・運動準備過程にどのようにかかわるかを検討するため、情動的特性を持つ刺激として、モンスターの顔を呈示し、その運動反応への影響を反応時間、脳波事象関連電位などから検討した。情動刺激の効果は個人差が大きいため、各種質問紙とともに指尖脈波を情動反応の指標として情動反応の大きさを把握し、反応時間との関連性を行動的側面から検討した。 当初計画では、行動指標の特性が明らかになった場合に、脳波事象関連電位(ERP)あるいは機能的核磁気共鳴画像(fMRI)により脳活動の活動部位の検討を行うことも視野に入れていた。しかし、反応時間に明確な実験条件差が得られるには至らず、脳活動の検討は今後の課題となった。行動的側面の分析としては、反応時間、質問紙、指尖脈波の情動反応の詳細な検討を進めてきており、現在、それらの相互関連性を様々な観点から分析しているところである。検討結果は以下のとおりである。 平成23年度の実験では、ヒトの情動系情報処理が運動系情報処理に影響するか否かを検討するため、恐怖を喚起する視覚画像(モンスターの顔、統制画像として人の顔)をコンピューターモニターに短時間呈示し、それに対するマウスボタン押しによる選択反応時間を測定した。また、そのような視覚刺激呈示および反応が自律神経系の活動とどのように関連しているかを探るために、指尖部から導出した脈波の間隔変動を周波数解析し、交感/副交感神経系の活動の指標とした。反応時間の結果では、短反応時間群にモンスター刺激の反応が速くなる傾向が一部に見られた。他方、指尖脈波の分析では、モンスターの顔の方が交感神経系がより亢進していることがわかり、モンスター刺激が自律系に影響を及ぼしていることが示唆された。しかし、それらと反応時間の関連性は明確でなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では情動刺激として用いたモンスターの顔が情動反応を引き起こすか否かが重要な点であった。その点を指尖脈波のパワースペクトル解析により検討し、個人差を考慮することで情動刺激としての特性を示す可能性が見いだされた。本研究で用いた刺激が情動性反応を示すことが推察できた点で、順調な進展といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究結果では、反応時間については条件差が得られてないが、情動反応としての指尖脈波にはモンスター刺激による自律神経系応答への影響がみられた。これらの結果に基づき、今後は、指尖脈波の自律神経系応答と反応時間の比較検討を中心に進めていく予定である。さらに将来的には、行動指標面が明確になった場合に、脳波事象関連電位あるいはfMRIの計測に進める計画である。
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Research Products
(14 results)