2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21300253
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
和気 秀文 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50274957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 正信 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80181593)
向阪 彰 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00458051)
GOURAUD Sabine 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (30453179)
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Keywords | 孤束核 / 高血圧 / 有酸素運動 / 循環調節中枢 / 遺伝子発現 / ヒスタミン / セロトニン |
Research Abstract |
運動習慣により高血圧症が改善すると言われているが、その機序については未だ不明な点が多い。運動習慣による降圧効果の機序の一つは循環調節中枢の可塑性によると考えられている。我々は循環調節中枢の中でも特に延髄孤束核の役割について着目し、当該核の可塑性と運動依存性循環調節適応の関係について調べている。そして昨年度までに運動習慣は孤束核におけるヒスタミン受容体H1およびセロトニン受容体5HT1Aの遺伝子発現を減少させることなどを明らかにした。本年度は、孤束核を介したヒスタミンおよびセロトニン神経系の可塑性が運動による循環調節適応に関与しているかどうか検討を重ねた。 セロトニントランスポーターを標的としたターゲットトキシンをラットの孤束核に微量注入し、孤束核支配性セロトニン作動性神経を特異的に破壊した際の循環動態を無麻酔無拘束下で観察した結果、24時間血圧値に有意な上昇を認めた。すなわち、セロトニン神経系は孤束核を介して血圧を低下させる作用を有することが明らかになった。5HT1A受容体は自己受容体であり、セロトニン放出を抑制する働きがあるので、運動習慣による孤束核5HT1A受容体遺伝子の発現低下は孤束核内セロトニンの増加を引き起こすことにより高血圧症の降圧効果に寄与している可能性が示された。また、麻酔下ラットにおける孤束核への薬物微量注入実験により、ヒスタミン受容体H1依存性昇圧反応は運動習慣により増加することがわかった。この結果は運動による高血圧症の改善効果に孤束核を介したヒスタミン神経系の可塑性は関与しないことを示唆している。その一方で、当該神経系は運動中の循環調節(血圧上昇と頻脈)に関わっているものと推察された。 以上より、運動習慣による循環調節適応に、孤束核を介したモノアミン神経系の可塑性が一部関与している可能性が示された。その中でセロトニン神経系が運動習慣による高血圧症改善効果に関与しているものと考えられた。
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Research Products
(12 results)