2010 Fiscal Year Annual Research Report
若年者の発達過程における味覚閾値・咀嚼力の要因と「五感を育む食教育」の構築
Project/Area Number |
21300263
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
篠原 久枝 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (40178885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 豊子 帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (90047308)
田中 紀子 神戸女子大学, 家政学部, 教授 (90122324)
浅野 恭代 畿央大学, 健康科学部, 教授 (40098546)
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Keywords | 味覚教育 / うま味 / だしの嗜好性 / 五味識別能 / 五感 / ピュイゼ・メソッド / フランスの味覚の1週間 / 食生活 |
Research Abstract |
昨年度の宮崎県内の小学校・中学校における食育、味覚教育に関する実態調査から、「出汁(うま味)のおいしさ」や「日本の食文化の伝承」の教育の必要性が示唆された。本年度はその基礎資料を得ることを目的として、(1)小学生、大学生の五味識別能、天然だしの嗜好性と食習慣・生活習慣との関連性について検討、(2)味覚教育の先進国である「ピュイゼ・メソッド」、「フランスの味覚の1週間」の事例研究を行い、以下の結果を得た。 (1)大学生においては、五味識別能が高い群では、「薄味嗜好」や「美味しさへの関心」の高さが見られ、天然だしの使用頻度が高い群では「食事をよく噛んで食べる」、「野菜の煮物をよく食べる」、「和食が好き」、「健康的な食生活を送れる自信がある」が高値であった。堅い食品の摂取頻度が高いほど和食への嗜好性が強く、咀嚼意識を高めることより、食事中によく噛み、薄味や味わいを重視することが示唆された。さらに味覚の行動に影響を及ぼす諸要因について因果モデルの分析を行った結果、大学生に対する味覚教育として、各種材料からうま味成分を効率よく抽出するコツを習得し、おいしく「だし」を味わい、和食嗜好を高めることが重要であることが示唆された。 (2)フランスの味覚教育視察では、ジャック・ピュイゼ氏による「味覚の授業」の受講、ならびにヨーロッパ味覚センターによる「ピュイゼ・メソッド」の評価から、味覚経験・感覚を言語化することが食への関心・嗜好性を高め,コミュニケーション手段となることが示唆された。さらに「味覚の1週間」における2つの小学校の事例から、「4つの基本味」の題材選択、授業方法について、今後の日本の味覚教育の参考となる知見を得た。
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Research Products
(2 results)