2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能性食品の転写因子賦活化による生活習慣肝疾患の進展と発癌に対する新しい予防効果
Project/Area Number |
21300275
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
宇都宮 洋才 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60264876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正田 純一 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (90241827)
石井 哲郎 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20111370)
高橋 宏 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (70236313)
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Keywords | 機能性食品 / 転写因子 / Nrf2 / 生活習慣病 / 脂肪性肝炎 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
酸化ストレスは単純性脂肪肝から脂肪性肝炎への進展に重要な要因である.酸化ストレスに対する統括的防御として重要な転写因子Nrf2は,メチオニンコリン欠乏食(MCD)誘発脂肪性肝炎モデルにおいてNrf2が防御的な役割を果たす.本研究では,脂肪性肝炎の治療的観点から,Nrf2過剰発現マウスのKeapl knockdown(kd)マウスにMCD食投与を行い,Nrf2の賦活化が脂肪性肝炎の発症と進展に対して抑止効果を示すかを検討した.また,ブロッコリースプラウト(新芽)からNrf2の活性化剤として見出されたsulforaphen(SFN)もマウスに投与しその効果を検討した.12週齢の野性型(WT), Nrf2遺伝子欠損(Nrf2-null), Nrf2過剰発現Keapl-kdマウスにMCD食を6週および13週間投与した.さらに,SFN+MCD食(500mg/kg)を作製しWTへの投与した.6および13週間投与のいずれにおいても,Keapl-kdでは脂肪性肝炎の病理学的な変化は殆ど認められず,一方,Nrf2-nullではWTと比較してより重症の脂肪性肝炎像を呈していた.Nrf2およびNrf2制御下の抗酸化ストレス遺伝子群は,WTではMCD食投与によって通常食投与に比較して有意に増加し,Keapl-kdではその基礎発現レベルが著明に増加していた.一方,Nrf2-nullではこれらの発現誘導はごく軽微であった.WTマウスSFN投与群では,対照と比較して脂肪性肝炎の特に炎症および線維化が抑制されていたが,Nrf2-nullマウスSFN投与群では改善効果は認められず,SFNはNrf2を介して酸化ストレスの増加を抑制し,その結果肝線維化を抑制したものと考えられた.Nrf2はNASH治療における重要な分子標的の一つであると考えられ,SFNはNASHに対する新しい治療薬になると考えられた.
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Research Products
(5 results)