2011 Fiscal Year Annual Research Report
認知科学的アプローチによる聴覚障害者教育プログラムの開発と効果測定の基盤研究
Project/Area Number |
21300301
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
生田目 美紀 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (20320624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西岡 知之 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (70310191)
永盛 祐介 筑波技術大学, 産業技術学部, 助教 (70553931)
渡邊 克巳 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (20373409)
松田 哲也 玉川大学, 脳科学研究所脳科学研究施設, 准教授 (30384720)
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Keywords | 聴覚障害者 / 視線計測 / 顔認知 / 視覚的注意 / 教材開発 / peer review / iPad / fMRI |
Research Abstract |
研究の概要: 本研究では、聴覚障害者の言語処理や視覚認知を詳しく知ることにより,言語性能力や社会認知機能の発達を十分に促すことができるような教育プログラムと具体的な教材の開発を目的としている。そのため、聴覚障害者の社会的共同注意機能の測定に向けた研究の基礎段階として、聴覚障害者の顔認知や視覚注意について眼球運動を用いて調査する以下の実験を行った。また,言語性能力や社会認知機能を発達させるために、レビュー機能を持った教材システムを開発し,国際学会での発表を行った。 【聴覚障害者の顔認知ストラテジー】 眼球運動は視覚的課題を行っている時の情報取得ストラテジーを反映することが知られている。この研究では、健聴者23名と聴覚障害者20名を被験者として、感情読み取りタスクを行っている時の眼球運動を測定した。その結果、聴覚障害者は鼻(あるいは顔の中心部)よりも眼を良く注視する傾向があるのに対し、健聴者はそれとは逆の傾向が見られた。この結果は、聴覚障害者と健聴者で顔の認知課題を行う際の、視覚的ストラテジーが違っている可能性を示唆する。 【聴覚障害者の視覚的注意】 聴覚障害者と健聴者における視覚的注意の違いについて検討した。実験ではPosnerらの先行手掛り法を踏襲し、3種類の中心手掛り刺激(矢印、指、顔)を用いた。10代後半から20代前半の若年健聴者20名と若年聴覚障害者22名が実験に参加した。先行手掛りを呈示してからターゲット刺激を出すまでの時間(SOA)を、100ms,300ms,700msに設定して反応時間を調べたところ、300msのSOAの際に、先行手がかり刺激による利得(benefit)が、聴覚障害者の方が健聴者に比べて大きいことを示唆する結果を得た。
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