2010 Fiscal Year Annual Research Report
溶存フミン物質の簡易分別定量法の開発:土壌ー陸水系におけるDOM動態解析への利用
Project/Area Number |
21310010
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤嶽 暢英 神戸大学, 農学研究科, 教授 (50243332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 誠也 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (20343014)
川東 正幸 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (60297794)
杉山 裕子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (40305694)
高橋 勝利 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (00271792)
廣田 充 筑波大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (90391151)
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Keywords | 炭素動態 / 溶存有機物 / フミン物質 / NMR分析 / DAX8樹脂 / 土壌-陸水系 |
Research Abstract |
本研究は土壌-陸水系における炭素動態の鍵となる溶存有機物(DOM)を,極性の異なる3成分(非フミン物質,弱疎水性フミン物質,強疎水性フミン物質)に分別する手法を開発し,フィールドモニタリングへの応用例を示すことで新しい動態解析法を提案することを目的としている。本年度(平成22年度)は前年度に考案した3成分分別カラム法を発展させ,ルーティン化するための改良をおこなった。その結果,カラム法からバッチ法に移行することで,バラツキや測定誤差を加味したより正確な簡便法を確立した。具体的には採取土壌100gで5連のTOC測定が可能となり,フィールド調査で十分に実用可能であることが明らかになった。また,このバッチ法で得られた3成分の分別試料をNMR分析に供して評価した結果,強疎水性フミン物質は脂肪族性炭素に富み,弱疎水性フミン物質は芳香族性炭素に富み,非フミン物質は炭水化物炭素に富むという,カラム法と同様の結果が得られたことから,今回開発した簡便法でも期待通りに極性の異なる3成分(非フミン物質,弱疎水性フミン物質,強疎水性フミン物質)に分別できることがわかった。また,NMR法で測定誤差を生じる主因である鉄の混入はイオン交換樹脂に供することで解消すること,プロトンNMRとカーボンNMRで得られる情報に相関関係が成立し,供試量の少ないプロトンNMR法による質的評価が可能となることも明らかになった。従って,次年度に予定しているフィールドモニタリングへの適用例やモデル実験解析においても量的情報のみ成らず,質的情報も得られる可能性が高まった。
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Research Products
(5 results)