2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21310011
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小池 一彦 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (30265722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 豪 (独)水産総合研究センター, 西海区水産研究所・亜熱帯研究センター, 研究員 (30533319)
林原 毅 (独)水産総合研究センター, 西海区水産研究所・亜熱帯研究センター, 研究員 (60372017)
山下 洋 (独)水産総合研究センター, 西海区水産研究所・亜熱帯研究センター, 研究員 (00583147)
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Keywords | サンゴ / 褐虫藻 / サンゴの白化 |
Research Abstract |
当該年度は2回の石垣島での調査・実験を行った。実施計画ではフィールドのサンゴにトラップを仕掛け,そこに放出されてくる褐虫藻の状態を観察する予定であったが,これでは十分な細胞数が得られなかったため,急遽,水槽実験に切り替えた。10種のサンゴを水槽で流水飼育し,昼間に一定時間流水を停止,その間に放出されてくる褐虫藻を定量した。また,そのカルセイン染色により,褐虫藻がサンゴ細胞に包まれているか否か,カルコフロール染色により放出される褐虫藻が自由遊泳ステージに形態変化している可能性を調べた。なお,サンゴからの褐虫藻の放出を,定常的な現象(=健全な排出)とサンゴ白化に伴う異常現象(=ストレスによる異常排出)にわけて考えるため,水温27℃と30℃で飼育した。Calcein-AM染色の結果,非ストレス下(27℃)より温度ストレス下(30℃)の時に放出された褐虫藻の方が,比較的サンゴ組織に包まれている割合が高いことが分かった。いずれの温度下で放出された褐虫藻も,形態的には球形の共生ステージであったが,ほぼすべての細胞がCalcofluorで染色されたことから,鎧板を持つ自由生活ステージ(もしくは移行状態)にあることが示唆された.なお,非ストレス下で放出された褐虫藻を海水中で維持すると,翌日には鞭毛を持ち遊泳する細胞が多数確認された.光化学系IIの最大量子収率については,非ストレス下で放出された褐虫藻の方が高いFv/Fmの値を示した.これらのことから,少なくとも非ストレス下で放出された褐虫藻は生理的にactiveであり,自由生活ステージに移行可能である,すなわち,昨今議論が活発になっている"ビーコン仮説(自由生活状態の褐虫藻が他サンゴへ誘引される)"の一端を支持するものかもしれない.
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Research Products
(4 results)