Research Abstract |
鉄鋼業における水素の有効利用は、日本全体のCO2削減問題に大きく寄与する。 そこで本研究では、現行高炉における積極的な水素導入に加え、コークスを使用しない完全水素高炉を目指した場合の可能性を調査することが主目的である。 平成23年度は、前年度までに開発が終了したシミュレーションモデルを用いて、炉内に水素を導入した場合の,影響を解析した。本シミュレーションモデルにより約40%までの水素を炉内に吹き込むことが可能でることが分かった.さらに水素を吹き込むことにより生産性は,10000ton/dayから14000ton/dayに40%も上昇し,炭材の使用量は,500kg/thmから300kg/thmまで減らすことができるため大きなCO2の削減効果が得られることがわかった.また,H2-H20のガスは,従来の高炉ガスの組成CO-CO2系に比較して,圧力損失が小さく同じ生産性の場合におおいて比較すると,1/3程度まで減少するため,多くのガスを吹き込める利点が生じる. さらに,前年度に行った熱力学的考察によって明らかにした結果を実証するため,水素還元実験を行い,得られた鉄の分析から介在物が少なく高純度であることを確かめた.水素還元であることから,炭素[C]が,ほぼゼロであるのは当然であるが,[Si]は,0.21%から0.02%と1/10になり,[Mn]も1/3~1/10程度に減少し,[S]は1/2以下になった.
|