2009 Fiscal Year Annual Research Report
強震動・水文地形解析に基づくダム湖縁辺地すべり地の危険度評価法の研究
Project/Area Number |
21310117
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松波 孝治 Kyoto University, 防災研究所, 准教授 (70027291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 隆志 京都大学, 防災研究所, 助教 (10225716)
森井 亙 京都大学, 防災研究所, 助教 (30221633)
福岡 浩 京都大学, 防災研究所, 准教授 (40252522)
汪 発武 京都大学, 防災研究所, 助教 (10324097)
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Keywords | 強震動 / 地盤液状化 / 地すべり / ダム湖 / 地下水 / 火山 / 軽石凝灰岩 / 段波 |
Research Abstract |
(1)地すべりの発生機構と斜面物質移動様式 地震発生前・後に公表されたオルソ写真の比較から、二つの大きな土塊が表面の形状をあまり変えずに移動した。土塊Aは、斜面が崩壊し液状化物質と共に消失した部分に上流から移動してきた。次に土塊Bが北北西から移動してきて、土塊Aに乗り上げる形で停止した。これらの土塊移動は下流側に液状化によって生じた力学的な不安定が次々に上流側に連鎖して発生したと考えられる。 (2)本震時の強震動と地盤変動 本震時のダム監査廊基礎地盤での最大地震動は、加速度で1088gal(南北動)、速度で70cm/s(東西動)、変位で70cm(上下動)であった。変位波形から、南西方向へ約55cmの水平変位を伴う約70cmの隆起を得た。一方、ダム湖右岸地山表面では、北東方向への水平変位約28cmを伴う約4cmの隆起であった。両者の変位時刻歴と最終変位量の違いは、地山が地すべりを起こした事による。 (3)移動土塊の地盤振動特性 余震観測が実施された。土塊Bでの余震記録には主要動付近に長周期パルスが観測される事がある。これは水平動成分では傾斜ステップ、上下動成分では鉛直変位で生じる事が確認できた。地震時、地盤は北北西方向に傾く。傾斜角は地球潮汐と同程度(0.03μ radian)から、その30倍程度である。鉛直変位は、0.2cmから26.9cmの沈降である。 評価した傾斜とその方位は(1)の土塊Bの移動、乗り上げ運動に整合する。ダム基礎地盤を基準とする土塊BのS波主要動の増幅度特性には、1Hz付近に10倍程度の顕著なピークがある。これは地表の不動地盤には無いため、土塊Bの地震時の共振による。本震時に土塊Bは土塊Aに乗り上げるように衝突して停止したが、時に強い地震波の入射時に共振し、傾斜・沈降してより安定な状態に向かっている。
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