2010 Fiscal Year Annual Research Report
強震動・水文地形解析に基づくダム湖縁辺地すべり地の危険度評価法の研究
Project/Area Number |
21310117
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松波 孝治 京都大学, 防災研究所, 准教授 (70027291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 隆志 京都大学, 防災研究所, 助教 (10225716)
森井 亙 京都大学, 防災研究所, 助教 (30221633)
福岡 浩 京都大学, 防災研究所, 准教授 (40252522)
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Keywords | 強震動 / 液状化 / 地すべり / ダム湖 / 地下水 / 火山 / 軽石凝灰岩 / 段波 |
Research Abstract |
2008年岩手宮城内陸地震で発生した荒砥沢ダム上流部分の巨大な地すべり土塊の地震発生前の水文地形学的特徴を地すべり分布図、地質図、地震発生前後の10mおよび5mDEMを用いた地形解析、地震前後の空中写真判読から、既往の地すべり地で、水流が集中する部分に移動する可能性が高いことを見いだした。このことから、隣接する栗駒ダム周辺でも同様の解析を行い、現地での踏査結果を裏付ける地表変位を検出する方法について検討をおこなった。また、荒砥沢ダム管理事務所の地震発生時に停電で欠測となっていた水位変化データから、地震時にダム湖内で発生した段波状の水位変化について、新たに検討をおこなった。ダム湖内に流入するシツミクキ沢の橋破壊過程と併せて地震発生時あるいは直後に最初に移動を開始した箇所の検討をおこなった。荒砥沢地域の地質は、前期-中期中新世の火山活動による噴出物が、基盤を形成し、特に震源域の南部ではカルデラの発達もみられ、その後第四紀火山である栗駒山の噴出物が地表を覆った。この噴出物の下位には、湖沼または河川により選別された柔らかい凝灰質砂岩やシルト岩が互層をなしており、すべり・流動層は、この内部に存在すると考えられる。地表から数百メートル程度までの地下構造および速度構造を調べるために、荒砥沢ダム湖周辺に短い探査測線を設定し、P/S波による屈折法・反射法探査を試みた。ダム湖左岸測線における屈折初動解析から、基盤相当層の速度は、3.0km/s-4.0km/s、上位の層は、1.0km/s-2.0km/sである。また、基盤が一旦南側に向かって上昇する背斜構造が見られる。測線の中央やや南の高まりには硬質の凝灰岩露頭が見られ、これは、カルデラ壁に相当する可能性もある。屈折トモグラフィー解析から、背斜構造頂部付近に低速度異常が見られ、これが何であるか今後の検討を要する。次年度には、本測線北方延長上に位置する地すべり地域内で同様な地下構造探査を予定している。今回、それに向けての貴重な情報を得ることができた。
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