2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNAの発現・成熟に関わる分子の網羅的探索とその機能解析
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21310123
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
程 久美子 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50213327)
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Keywords | miRNA / 遺伝子 / noncoding RNA / 発現調節 / プロセシング / RNA結合タンパク質 |
Research Abstract |
本研究では、マイクロRNA(microRNA)の発現・成熟を制御する機構を明らかにすることを目的としている。miRNAは、タンパク質をコードしないnoncoding RNAの一種で、メッセンジャーRNA (mRNA)の3’タンパク質非翻訳領域(3’UTR)に部分的に対合して、標的mRNAの翻訳を抑制する。これまでは、microRNAがどのような標的mRNAに対合して、その翻訳を抑制するのかという研究に焦点が当てられていたため、microRNAの発現・成熟過程についてはよくわかっていない。しかし、microRNAの発現および成熟過程の解析は、未知の多様な高次生命現象の解明には重要である。本研究では、この点に焦点を絞り、microRNAの発現・成熟に関わる機構について明らかにすることを目的とした。 平成23年度は、RNA結合タンパク質であり、let-7 family microRNAの成熟過程を制御することがわかっているLIN28AおよびLIN28BによるmicroRNAの成熟を制御する機構の網羅的解析を行った。タグ付きのLIN28AおよびLIN28Bをヒト培養細胞で過剰発現させ、タグを利用して免疫沈降を行った。免疫沈降物中に含まれるRNAを抽出して、次世代シーケンサーで解析し、LIN28AおよびLIN28Bが結合することによって、成熟過程におけるプロセシングが抑制されていると考えられるmicroRNAを網羅した。それらについて、個別にノザンブロットを行い、LIN28AおよびLIN28Bのノックダウンで発現量が変動するprecursor-microRNAとmature microRNAを選択し、LIN28による成熟過程制御機構の解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、microRNAの発現・成熟過程を制御する機構を明らかにすることを目的としている。既知の分子によって成熟過程が制御されるmicroRNAを網羅的に特定することは可能となったが、microRNAの成熟過程を制御する新規RNA結合タンパク質の特定には至っていないため、スクリーニングを継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
microRNAの発現および成熟に関わるRNA結合タンパク質に焦点を絞り、いくつかの細胞種におけるprimary microRNA, precursor microRNA, およびmature microRNAの網羅的発現解析をRNAシーケンスによって行い、成熟過程がブロックされているmicroRNAを選択する。そのようなmicroRNAを用いて、結合するタンパク質を特定するという方法を併用することによって、効率的にmicroRNAの発現および成熟過程を制御するタンパク質を特定し、その機能を明らかにしていく。
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Research Products
(13 results)