2010 Fiscal Year Annual Research Report
ラテンアメリカ社会の調和と対立に関する政治経済学的研究
Project/Area Number |
21310161
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
濱口 伸明 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70379460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西島 章次 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70116234)
宇佐見 耕一 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 主任研究員 (50450458)
高橋 百合子 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (30432553)
幡谷 則子 上智大学, 外国語学部, 教授 (00338435)
村上 勇介 京都大学, 地域研究統合情報センター, 准教授 (70290921)
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Keywords | 自由化と所得格差 / 貧困削減政策の説明責任 / 開発と地域社会 / 政治の未制度化と民主主義 |
Research Abstract |
濱口はブラジルの最新の家計調査データを用いて分析し、実質所得の地域間格差が縮小し、労働力が中心都市から地方都市や農業フロンティアに移動するこれまでと逆のパターンに変わっていることを明らかにした。西島は、とくにブラジル経済に関し、新自由主義改革に基づくオープンネスの拡大が、如何に成長率の回復や生産性を改善するのか、また、賃金格差とどのように関係するのかについてマイクロ・データを用いた実証研究を実施した。宇佐見は限界を迎えたアルゼンチンの社会保障に対して、ベーシック・インカムの議論や社会老年学分析により失業や高齢化問題を詳細に検討した。高橋は、メキシコにおいて、主として貧困削減政策の執行過程における透明性・説明責任を高めるための制度改革に関わった、政治家、市民社会アクターのインセンティブ・行動の解明を進めるとともに、チリ・ブラジルにおける同様の改革過程についての比較分析に着手した。幡谷はコロンビアの太平洋岸地域における零細金鉱山コミュニティに焦点をあて、鉱物資源開発とその可能性がもたらすマクロ経済的効果に立脚した国家開発計画の考察と、そのもとでの鉱山法の制度改革の動向、およびそれがローカルコミュニティにもたらす利点と矛盾点を分析した。鉱山法の改革が開発計画と国民統合をめざしたものである一方で、零細金鉱山民を結果的には排除する可能性をはらんでおり、それが当該地域における社会的紛争要因となることを指摘した。村上はフジモリ政権(1990~2000年)後のペルーにおける社会紛争の発生状況を調査分析し、その増加傾向を確認した。そして、その背景として、主要な政治アクターである政党勢力が小党分裂化するとともに相互の間の対立関係を解消できない状況、政治の未制度化の状況が続いていることを示した。
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Research Products
(13 results)