2012 Fiscal Year Annual Research Report
芸術家と工房の内と外-学習・共同制作・競争の諸相-
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21320028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 俊春 京都大学, 文学研究科, 教授 (60198223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根立 研介 京都大学, 文学研究科, 教授 (10303794)
平川 佳世 京都大学, 文学研究科, 准教授 (10340762)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 美術史 / 芸術諸学 / 工房 / 共同制作 / アカデミー / 徒弟修行 / 酒井抱一 / ルーベンス |
Research Abstract |
これまでの3年間の研究において、工房の「内」での活動に関して、若い画家たちの養成システム、ならびに工房における制作方法について検討するとともに、工房の「外」の様相に着目して、独立した工房を構える芸術家間での共同制作の様相、工房で学んだ後に独立した芸術家のかつての師との関係、工房の継承形式という問題について、西洋と日本美術史の具体的な諸事例に即して探求してきた。研究の最終年度にあたる本年度は、これらの問題についてさらに考察を深め、加えて、新たに二つの事例を検討した。 18世紀のフランスの芸術家たちの活動の中心は王立絵画彫刻アカデミーであり、そこでは美術を職人の技から自由学芸の地位に上昇させるという理念が重視されていた。だが一方で、アカデミー画家たちは個人の工房を有していた。ルーヴル宮殿にアトリエと居室を構えた彼らの活動を検討した結果、弟子の教育ならびに作品販売に関わる実務レベルでは、依然として職人工房の伝統を色濃く継承していたことが明らかになった。 また、江戸後期の画家、酒井抱一の工房運営について検討した。抱一工房の主力であった鈴木蠣潭・其一は、下絵や本画の代作なども行っていたが、このような弟子たちによる代作が可能であった背景には、抱一作品の図様を伝える粉本が工房で共有されていたからであると考えられる。そのことを、抱一工房が得意とした画題の一つ「仁徳天皇図」から明らかにした。また、抱一が、酒井鶯蒲を工房の後継者として積極的に後押しする様子を抱一・鶯蒲らが参加した寄合書などから検討した。 以上の研究成果のとりまとめとして、9篇の論文を収録した研究成果報告書『芸術家と工房の内と外 -学習・共同制作・競争の諸相-』を発行し、さらに、『ルーベンス-栄光のアントワープ工房と原点のイタリア-』と題された展覧会を組織した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(29 results)