2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21320035
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
豊福 誠 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (30227665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 一郎 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (30143639)
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Keywords | ラピス・ラズリ / 高純度青色顔料 |
Research Abstract |
ラピス・ラズリによる陶磁器釉薬としての可能性の拡大 粉砕・黄鉄鉱除去による青色顔料及びチェンニーニ抽出法による高純度青色顔料の分析試験による鉱物学的評価を昨年度に引き続き行った。その熱解析では、500℃前後と1100℃以後に著しい変化が見られ1150℃以後では、青色の喪失が顕著に起こり、1200℃以降は透明釉となった。硫黄との結合による青色の発色を高火度焼成において維持するため、硫黄に代わる物質の検討を行ってきたが、その特定に至っていない。 釉薬としての発色維持 低火度釉(800℃前後)の陶磁器素地への定着を安定的に行うための、フリットと釉薬の調整及び焼成実験を行った。焼成時の窯内雰囲気による発色変化の初期試験を行ったが、還元焔雰囲気、酸化焔雰囲気共に大きな変化は見られなかった為、酸化焔雰囲気での試験焼成を継続的に行っている。ラピス・ラズリによる青色の発色と透明感のある良好な釉薬を求めて、より低火度の釉薬を得るため無鉛硼酸バリウム釉のフリット調整とラピス・ラズリ調合による発色試験を進行中である。 陶磁器作品展開ための素地選定 ラピス。ラズリ釉の青色発色に最適な素地の調整は初年度より、高火度素地の試験と選定を行ってきた。23年度は、低火度釉に対応した素地の調整のため、白色度の高い陶石素地にドロマイトを添加し、添加量と焼成温度の変化による素地の焼成試験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、高火度、中火度域のラピス・ラズリ釉を目指して、分析および焼成試験を行ってきたが、青色の発色の美的効果を優先し、安定した釉薬を得るため、低火度釉による調整に、方向性を変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度の低火度フリット釉、低火度用素地、高火度素地の試験データを元に、ラピス・ラズリ青色釉による陶芸作品の制作を行い、本年度末の研究発表と作品展示を合わせた研究成果発表展を行う予定である。又、中火度域から高火度域における焼成試験を継続的に行い、ラピス・ラズリ釉薬・焼成法ならびに、焼成法による瑠璃顔料精製法の基礎データの確立をはかる。
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