2009 Fiscal Year Annual Research Report
楳茂都陸平の舞踊譜と宝塚歌劇-新舞踊『春から秋へ』を中心に
Project/Area Number |
21320038
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
根岸 一美 Osaka University, 大学院・文学研究科, 教授 (80097956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 裕 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80167163)
武石 みどり 東京音楽大学, 音楽学部, 教授 (70192630)
桑原 和美 就実大学, 人文科学部, 教授 (60341137)
井手口 彰典 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 講師 (00469412)
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Keywords | 楳茂都陸平 / 『春から秋へ』 / 宝塚歌劇団 / 『歌劇』 / 『演藝画報』 / 新舞踊 / 原田潤 |
Research Abstract |
交付申請書に記載した「研究の目的」を踏まえ、「研究実施計画」に示した7項目につき、以下のように実施した。いずれの項目においても、日本における西洋舞踊芸術の受容と展開をめぐる本研究課題の基本目的に照らし合わせて、第1年次として必要な成果を得ることができたと判断している。1.楳茂都流の舞踊家の協力を得つつ『春から秋へ』の舞踊譜を解読し、さらに日本女子体育大学の学生諸君の協力も得て、舞踊再現の作業を開始した。2.『春から秋へ』のピアノ譜とオーケストラ楽譜を浄書ソフトによってPCにデータ入力し、さらにそれをMIDIデータ化し、そのままでは無機的な演奏データに表情を付ける作業を行い、実際の舞踊に適応しうる音源の作成を試みた。またピアノ譜についてはピアニストへの演奏依頼も行い、録音してCDを作成した。3.再現上演の出演者およびホールの可能性につき調査を行い、宝塚歌劇団との交渉を開始した。4.楳茂都陸平の仕事ならびに関連する事柄について、雑誌『歌劇』より探り出す作業を、関連研究に携わっている大学院生のアルバイトを通じて行い、基礎資料の一端を作成した。5.『春から秋へ』の制作と受容を支えた背景をさぐるため、同時代の『演藝画報』の記事を中心に文献調査を行い、宝塚の外側での「新舞踊」の状況と、その背景にある文化観、さらにそこにおける日本文化と西洋文化との関わりに関する表象などについての分析を進めた。6.『春から秋へ』の現存楽譜(大正14年版)と舞踊譜(大正10年版)の不一致部分について検討し、楽譜で欠落している最終フーガ部分の、舞踊譜における相当個所を確認した。さらに、大正期の吹奏楽を中心に研究している作曲家に、様式考察に基づくフーガ部分の推測復元作曲を依頼し、完了した。7.宝塚歌劇団と資料閲覧に関する折衝を行い、現存する原田潤作曲の16作品の楽譜を閲覧・複写し、原田潤の劇音楽全般の様式考察を開始した。
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Research Products
(3 results)