2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21320046
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
武井 和人 埼玉大学, 教養学部, 教授 (80154962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 絹江 東京成徳短期大学, 言語文化コミュニケーション科, 教授 (70177674)
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Keywords | 禁裏本 / 源氏物語 / 玉藻の草紙 / 後素集 / 櫨紅葉 / 式子内親王集 / 伊予切 / 懐紙書式 |
Research Abstract |
本年度は、本研究に携わっている研究者個々の個別テーマに即した問題意識を、具体的な典籍を事例としつつ、書写と書写環境の関係について、2回開催した研究会(8/27、3/18、於:埼玉大学・東京ステーションカレッジ)での発表等を通じて、研究成果を示した。いまだ書写と書写環境を一望しうる結論には至らないが、研究方法を見出しつつことは認めて良いと感ずる。 一二具体的に示す。武井「「家集前史資料二點」(第2回研究会での口頭発表、平成23年3月18日)では、本年度入手した三田葆光の家集『櫨紅葉』の稿本と刊本とを研究材料とし、稿本と刊本(=事実上の清書本)との関係が、いかに編者(黒川真道)の意向をきめ細かく反映したものであるかを示した。 また、武井・木下美佳は、平成21年度に武井が入手した一条兼良自筆『伊勢物語愚見抄』(初稿本、新出資料)を仔細に検討し、(1)間違いなく兼良自筆であることを論証し、(2)諸本における位置付けを初稿本と再稿本との中間的な存在と付けた。その上で、共編で『一条兼良自筆伊勢物語愚見抄影印・翻刻・研究』(笠間書院、2011・1)として刊行した。今後多くの研究者によって利用され、伊勢物語古注・一条兼良研究両面での深化を促すものとなるだろう。 さらに、孤本と思われる『十八番歌合』(大舘尚氏自筆)を入手し、その翻刻と考証を、武井・山本啓介「埼玉大学蔵『十八番歌合』-略解題・影印・釈文-」(『研究と資料』第64輯、2010・12)として公にした。併せて、全文の画像を「学術情報発信システムSUCRA」に掲載し、広く研究者に公開した。より詳細な検討は、平成23年度に行う予定である。
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Research Products
(5 results)