2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本語諸方言の文法を総合的に記述する『全国方言文法辞典』の作成とウェブ版の構築
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21320086
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
日高 水穂 関西大学, 文学部, 教授 (80292358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 礼子(舩木礼子) 神戸女子大学, 文学部, 准教授 (00454736)
小西 いずみ 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60315736)
竹田 晃子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 時空間変異研究系, 研究員 (60423993)
林 良雄 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (90211490)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 方言 |
Research Abstract |
平成24年度の交付申請書には、具体的な研究内容として、以下のものをあげていた。 1.『全国方言文法辞典・活用編』の作成 2.共通調査データのウェブ入力システムの運用・整備 1に関しては、活用編ワーキンググループを立ち上げ、記述の枠組みを固めた。記述例として、秋田県本荘方言(日高水穂)、富山市方言(小西いずみ)、京都市方言(松丸真大)の活用の記述を行い、全体会議で原稿の検討を行った。あわせて方言区画上の要地を選定し、メンバー内での記述担当の割り振りを行った。2のウェブ入力システムについては、条件表現・逆接表現の共通調査データのウェブ入力システムがほぼ完成し、運用段階に入った。すでにメンバー内でのデータの共有に大いに活用できるものとなっている。 以上に加えて本年度は、方言昔話資料から辞典項目に記載する用例を採集する作業のため、既存の方言昔話資料のデータベース化と、用例データベースの作成に着手した。これまで、主として民俗学の分野で集積されてきた膨大な昔話の記録の中には、方言で記述されたものが多く見られる。それらの資料には明治・大正期生まれの話者も多く含まれ、現在聞き取り調査が可能な世代がほぼ昭和期の生まれであるのに対し、一世代上のことばを伝える貴重な資料であると言える。しかしながら、それらの資料は、一部を除いて、方言研究の資料としては活用されてこなかった。その理由は、昔話の再話の過程において、話者自身のことばが改変される場合が多いことによると思われるが、一方で、再話者を通じてより純度の高い方言テキストができあがっていると思われる例もある。我々もまず、方言昔話資料の資料特性を検証する作業を行ったが、資料の中には、当該地域の方言とは切り離された「共通昔話文体」の色合いが強いものもある一方で、当該地域の方言の特徴を反映していると見られるものが十分にあることも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『全国方言文法辞典・活用編』の原稿を執筆担当者ごとに書き進めている段階である。本研究課題の最終年度である平成25年度には完成する予定である。 方言昔話資料の資料特性の検証作業の成果については、2013年3月20日に行われたJLVC2013(国立国語研究所時空間変異研究系合同発表会)のポスター発表において、「近畿方言における命令表現の地域差」(森勇太)、「近畿方言のネン・テンの成立過程について―昔話資料を手がかりに―」(野間純平)の2つの発表により報告した。今後は用例データベースの作成に向けて作業を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
『全国方言文法辞典』は、「活用編」「助詞編(格・とりたて助詞類)」「文末詞編(助動詞・終助詞類)」「接続編」の4部構成とする予定であるが、これまでの取り組みから、本研究期間においては「活用編」の完成に向けて集中的に研究を進めることが妥当であると考える。当初完成を予定していた「接続編」「助詞編」については、本研究期間内ではデータ収集を中心に進め、辞典項目の記述は次期の課題としたい。
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Research Products
(6 results)