Research Abstract |
研究初年度である平成21年度は,研究計画にある次の5点に関して研究を進めた。 (a)中学生および高校生の英語力に関する実態の把握 (1)「学習指導要領実施状况調査」(2)「特定の課題(スピーキング)の調査」(3)「中学生の英語学力調査:英語の文構造把握の観点から(平成15年度~18年度科研研究)」について分析し,基本的な文構造の把握が不十分であり,スピーキングかも全体的に満足のいく状況ではないことから,本研究では,英語の文構造把握力を筆記テストとスピーキングテストの両面から調査することを決定した。 (b)調査項目に関する教科書での扱いに関する分析および文法問題作問 平成15年度~18年度科研研究では,文法問題として並べ替え問題と多肢選択問題の2種類を用いた。本調査では文法問題は1種類に絞ることとし、テスト項目の項目困難度・項目弁別力指数を検討し,「並べ替え問題」を使用する事に決定した。また,12項目に加え,受動態等,数項目を増やしてパイロット調査を行い,すでに習得していると考えられる,be動詞,一般動詞,助動詞canの3項目については割愛することとした。各調査項目に関しては,教科書によって出現頻度に差があることを考慮して,パイロット調査文法テストの結果分析を行った。 (c)スピーキングテストの作成 文法テストで扱うものと同じ文法構造を引き出すスピーキングテストの手法を検討し,研究顧問てあるピーネマン教授(パデルボーン大学)およびエリス教授(オークランド大学)の助言を得で,(1)日本語を英語に直す形式のもの,(2)オーラルイミテーション(聞いた英語を内容確認の後に繰り返す)形式のものの2種類を作成した。 (d)パイロット調査の実施と分析 文法テストに関しては,7月に中学校2校,および高校1校,11月にさらに中学3校でパイロット調査を行い,2月のパイロット調査に向けて問題項目の絞込みを行った。2月のパイロット調査ては,本調査と同じ形式で,文法テスト(8項目16問題)スピーキングテスト(1)(2)(各12分)を中学校2校,および高校1校で行った。スピーキングテストについては,2種類ともパワーポイントで絵を見せながらICレコーダーに発話を録音した。現在,分析中である。 (e)本調査の実施学校の選定 本研究は,中学2年生から高校1年生まで,同一の学習者について,英語の語順に関する文構造把握力の発達状況を1年間に2回,3年間にわたって調査する縦断的研究である。そのため,中・高一貫校での実施が必要であることから選択の幅が限られる。また,スピーキングテストの実施に当たっては,本研究の委員が実施する必要があることから,実施に関わる費用の観点からも2,3学校での実施が限度である。現在,2校決定している。
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