2011 Fiscal Year Annual Research Report
1910~30年代における日本の中国認識――華北地域を中心に
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21320136
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Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
本庄 比佐子 財団法人 東洋文庫, 研究部, 研究員 (50106639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 雅生 財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (30151905)
久保 亨 財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (10143520)
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Keywords | 華北調査 / 華北地域概念 / 近代日中関係史 |
Research Abstract |
1)前年度のワークショップにおける検討を通して、「華北」地域の概念について考えることの重要性を共通認識とすることができたので、これを更に発展・深化させるべく23年度は公開シンポジウム「華北の発見」を開催し、以下のような13件の報告が行われた。「地域概念としての華北」の部においては、戦前戦中期日本の図書・新聞・雑誌(「外地」発行のものも含む)に見られる日本人の華北認識、独中関係史からみた華北、これら華北概念の外来性に中国に古くからある「西北」概念を対置することで見える華北、近30年間の中国における研究状況など6件の報告があった。「華北の農村と社会」の部においては、戦前期日本の中国農村研究における「華北」理解、戦中期日本の食糧・農産物調査にみられた「華北」認識、人民共和国時期の追跡調査にみる華北農村の変化、民間信仰にみる江南社会と華北社会、戦前期日本人の中国観光旅行にみえる「華北」観、近代交通体系と華北都市の変遷、など7件の報告があった。これらの議論を通して、1910年代以降の日本人の華北認識の基礎にあったのは経済的要素であったが、1930年代以降には「華北5省」に象徴されるような日本の政治的・軍事的侵出のための認識が生まれたこと、そして地理的範囲の変遷もあったこと、などが具体的事例に基づいて明らかにされた。他分野の研究者も含め約120人の出席を得たことは予想以上であった。 2)上記シンポジウムには中国の天津社会科学院と南開大学歴史学院から3名の研究者の参加を得ることができた。これらの人々の報告を通して中国における「華北」の捉え方と研究状況、また〓案・史料の発掘状況もわかり、交流を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「華北」の地域概念の形成と展開に研究の焦点を絞ったことにより、これまでの研究と資料調査に基づき20世紀前半における華北地域の変化の過程を明らかにするという目的を明確化・具体化させる事ができている。また中国から3名の参加を得たことは、かなり順調と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、最終目標を25年度における論文集の刊行においている。それに向けた作業として、シンポジウムにおける報告とそれに寄せられたコメント及び総括的議論について検討し、その後の調査も併せて内容を充実させることを進める。
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Research Products
(22 results)