2011 Fiscal Year Annual Research Report
飛鳥・川原寺裏山遺跡の総合的研究-出土品から見た川原寺の特質-
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21320149
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
米田 文孝 関西大学, 文学部, 教授 (00298837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 昌弘 関西大学, 文学部, 教授 (00192691)
原田 正俊 関西大学, 文学部, 教授 (40278883)
長谷 洋一 関西大学, 文学部, 教授 (60388410)
河上 邦彦 神戸山手大学, 現代社会学部, 教授 (80271584)
市元 塁 (独)国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部, 研究員 (40416558)
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Keywords | 川原寺裏山遺跡 / 川原寺(弘福寺) / 三尊?仏 / 塑像 / 水波紋? / X線CTスキャン / 非接触光学式デジタイザ |
Research Abstract |
平成23年度の調査研究は,前年度までに策定した基本整理方針とその成果にもとづき,昭和49年度に実施された川原寺裏山遺跡第一次発掘調査で出土した一括遺物の正確な内容把握,及び各種遺物の実測調査などを継続して推進した。また,九州国立博物館における前年度までの試行的調査の成果に基づき第一次発掘調査で出土した塑像について,X線CTスキャンや非接触光学式デジタイザなどによる調査を重点的に実施した。 まず,出土遺物の整理作業における第3年度の成果では,(1)考古学・美術史分野の担当者は,前年度に引き続いて三尊博仏と塑像などの接合や台帳作成を推進した。また,画像処理分野の担当者と三尊博仏の画像データ作成を試行した。(2)考古学分野の担当者は国内の事例をデータ化するとともに,東アジアの類例について類例調査を進めた。(3)保存科学分野の担当者は出土金属製品の種別や材質などの台帳を作成し,クリーニングをはじめ最適な保存処理方法を試行した。(4)文献・仏教史学分野の担当者は,川原寺をはじめとした関連古代寺院にかかる史料を収集・整理した。 また,九州国立博物館が設備するX線CTスキャンや非接触光学式デジタイザなどによる塑像を中心とした調査では,当初予定しなかった資料保管者の展示計画などから九州国立博物館への資料搬入が遅延し,調査研究は平成24年5月まで要することになった。しかし,この間に九州国立博物館で2回開催した合同検討会では塑像内部の詳細な構造を把握できる可能性が判明し,具体的な製作技法の把握をはじめとし,考古学や美術史学などの多方面に波及する新たな成果を得られることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
九州国立博物館が設備するX線CTスキャンや非接触光学式デジタイザなどによる調査研究について,計画策定時には予定していなかった当該資料を保管する機関の展示計画により,当初に計画した第3(平成23)年度内に完了することができなかった(平成24年5月完了予定)。その他の資料整理に基づいた台帳・図録作成作業や第二次発掘調査資料の整理などは計画通りに推進できている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)本研究課題の最大の目的である川原寺裏山第一次調査で出土した一括資料の内容・数量を把握・確定するという基本方針に基づき,資料整理を推進して台帳・図録を作成する。 (2)平成24年12月に国際シンポジウムを開催して,本研究課題の推進で得られた成果を公開する。 (3)九州国立博物館が設備する調査研究では当初に予期された以上の知見を獲得しつつあり,当初に設定した本研究課題の目的を超える内容であるため,本研究課題終了後に別途,調査研究課題を設定して対応する予定である。
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