2010 Fiscal Year Annual Research Report
縄文時代の集落形成と森林利用に関する考古学・年輪年代学・民俗学的研究
Project/Area Number |
21320151
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
木村 勝彦 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (70292448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大楽 和正 新潟県立歴史博物館, 研究員 (20526959)
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
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Keywords | 年輪年代 / クリ / 花粉分析 / 燃料材 |
Research Abstract |
・奈良県橿原市,御所市の観音寺本馬遺跡では、集落に近接したクリを多く含む埋没林木材47点(うちクリが24点)の年輪解析を実施した。年代学的な解析は年輪数が少ないため困難であるが、河川沿いにほぼ一斉に成立した成長の速いクリ林の実態がある程度明らかになってきた。 ・年輪年代によりほぼ全期間にわたる年単位の主要な建物の変遷が明らかになった青田遺跡については、一部の連続して堆積した廃棄層が年輪年代との対比により1年単位での解析が可能になった。この結果を受けてクリ花粉の増加が認められていた廃棄層22C地点を再検討した結果、クリ花粉の変化はこの地点でのクリ林の拡大ではなく、クリ果実利用の際の処理に関連していることが示唆された。 ・平成21年度に実施した青田遺跡西側のボーリングコアの花粉分析を進めた結果、当該時期の堆積物が失われている部分が多いものの、いくつかの地点で近傍にクリ林が存在していた花粉組成が得られた。集落周辺のクリ林の広がりを知る上で重要な資料である。 ・青田遺跡において燃料材として用いられたのは木柱として用いられたクリやコナラは少なく、トネリコやハンノキなどの湿地性樹種やマツが多い。地質的な解析を実施したところ、比較的短期間存在した自然堤防上に成立した集落で、立地環境的に燃料材の入手を考えると不安定立地に生育する種が多くなっている可能性がある。 ・一方で、ハンノキ材は民俗学的な調査では「旦那様の焚き物」と呼ばれる地域もあり、入手のしやすさだけでなく、好んで用いられていた可能性も示唆された。
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