2009 Fiscal Year Annual Research Report
琉球・沖縄文化の形成と外的衝撃-古代~中世並行期を中心に
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21320160
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
吉成 直樹 Hosei University, 沖縄文化研究所, 教授 (80158485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永瀬 克已 法政大学, デザイン工学部, 教授 (30061237)
間宮 厚司 法政大学, 文学部, 教授 (30199913)
中本 謙 琉球大学, 教育学部, 准教授 (10381196)
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Keywords | 奄美 / 城久遺跡群 / 交易 / おもろさうし / ハ行子音p音 / 琉球語 / 南島語 / 集落空間構成 |
Research Abstract |
1喜界島の台地上にある城久遺跡群(9~13世紀)は、11世紀中葉以前は土器構成において南島的な要素も認められるが、国家的施設であった可能性が高く、九州など外来者によって形成された遺跡であること、11世紀中葉以降は琉球孤全体に滑石製石鍋、カムィヤキ、中国白磁を流通させた交易拠点(日本商人、高麗商人など)であったとの結論を得た。また、この流通にあたっては交易集団の沖縄諸島以南への面的な移住があった可能性が高い。喜界島が拠点として選択された理由として、防御性に優れた立地にあること、支配しやすい隆起珊瑚礁の小島であること、ドライにして地下湧水は豊富という生態条件によることなどが考えられる。従来、聖地とみなされてきたスク、グスクについて調査した結果、グスクは明らかに葬処であるものの、多数を占めるスクは防御的な施設など、多様性が認められた。 2古歌謡集『おもろさうし』の漢語の使用法を検討した結果、中世本土文学にみられる使用法と変わるところがなく、また地方おもろにおいても、同様の漢語の使用法が認められることから、おもろとは従来考えられていたよりはるかに新しいウタであると考えられる。また、琉球語が古い時期(弥生時代など)に本土語と分岐した言語であるとされる根拠となっているハ行子音p音の問題について、与路島、請島で調査を行った。南島語に由来する語彙と神話を検出することができた。 3喜界島の台地上の集落と海岸集落の聞き取りおよび実測調査研究によって、伝統的な民家は琉球文化と薩摩文化の双方が影響しあい、間取りの構成や室名関係の呼称にもそれらが融合した形で残っていることが判明した。また、集落の空間構成要素を抽出するとともに琉球圏とは異なる村路構成のあり方を全村にわたって抽出し検討した結果、新たな文化が積層しているものの、基層に琉球に見られる腰当の概念や風水思想があるとの見通しを得た。
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Research Products
(1 results)