2011 Fiscal Year Annual Research Report
海洋の生物多様性保全の国際法ー海洋法と環境法の統合的アプローチの探求
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21330012
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
田中 則夫 龍谷大学, 大学院・法務研究科(法科大学院), 教授 (40148391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富岡 仁 名古屋経済大学, 法学部, 教授 (00126880)
高村 ゆかり 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70303518)
河 錬洙 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50435989)
加々美 康彦 中部大学, 国際関係学部, 准教授 (30449889)
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Keywords | 国際海洋法 / 国際環境法 / 生物多様性 / 海洋保護区 / 海洋遺伝資源 / 生態系アプローチ / 予防原則 / 海洋統合管理 |
Research Abstract |
2011年度、研究代表者の田中則夫は、最終年度(2012年度)における研究成果物の刊行準備の一環として、海洋生物多様性の保全の課題の中でも、国家管轄権の限界を超える海域におけるそれが国際社会で最重要課題とされるに至る経緯を整理し、その上で、公海および深海底における海洋生物多様性の保全に関する現段階での議論の特徴について、漁業、海洋統合管理・生態系アプローチ・環境影響評価、海洋保護区、海洋遺伝資源に焦点を当てつつ解明した。本研究課題のいわば総論を担う作業の一部となるものである。 研究分担者の高村ゆかりは、海洋環境に影響を及ぼす可能性のある気候変動対策(例えば炭素回収貯留)や水銀による海洋汚染・海洋生態系の悪化防止のためになどのためにとられる措置などの規則定立過程を追い、生態系アプローチなど海洋生態系保全の考慮がこれらの措置にどのように組み込まれているかを検討した。富岡仁は、海洋生物多様性の保全の大前提となる海洋環境保護に関して包括的な検討を加えつつ、とりわけ国際油濁の責任と補償の制度の発展過程を明らかにした。河錬洙は、韓国の海洋保護区を中心に分析を進め、韓国の沿岸・海洋管理政策の国際法上の整合性や課題について検討を行った。加々美康彦は、海洋保護区をめぐる国内法制と国際法制の交錯について多角的な分析を進めると共に、海洋生態学者らとの学際研究に基づき、海洋保全生態学に関する最新の知見をまとめるに至った。2011年度の共同研究の締めくくりとして、2012年3月3日に韓国の海洋研究院(KORDI)との共催により「日韓国際共同研究会」を開催し、海洋生物多様性保全の課題をめぐる国際海洋法と国際環境法の相互の関連性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共同研究参加者は、それぞれ自己の研究計画に基づき分担した研究課題の検討を進めており、各論の具体的な問題に関する分析は相当に進展しているといえるが、本研究課題の拡がりの大きさと深さのゆえに、「海洋法と環境法の統合的アプローチの探求」という研究課題の副題に関する検討はまだ十分とはいえない。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度は、共同研究の最終年度にあたるため、成果物の刊行を計画している。その目的のために、すでに各自の論考の執筆テーマを提出してもらっているが、予定している『海洋生物多様性保全の国際法(仮題)』の刊行のためには、われわれ5人だけではカバーしきれないテーマのあることも明らかになってきている。そこで、共同研究参加者以外にも執筆依頼が可能な研究者との意見交換も重ねており、より良い成果物の刊行を実現できるよう一層の検討を重ねる予定である。
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Research Products
(13 results)