2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21330071
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
八木 匡 同志社大学, 経済学部, 教授 (60200474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘木 俊詔 同志社大学, 経済学部, 教授 (70112000)
埋橋 孝文 同志社大学, 社会学部, 教授 (60213427)
伊多波 良雄 同志社大学, 経済学部, 教授 (60151453)
川口 章 同志社大学, 政策学部, 教授 (50257903)
宮澤 和俊 同志社大学, 経済学部, 教授 (00329749)
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Keywords | リスク / 教育 / 所得格差 / 非正規雇用 / ジェンダー格差 / パーソナリティ / 階層間移動性 / 介護保険 |
Research Abstract |
本研究の目的は、リスクを生み出す社会制度上の不備とか問題が、人びとの経済行動にどのような影響を与えているかを分析することである。この目的に対して、様々な観点から研究を進めた。雇用における非正規化は、非婚化および少子化の本質的な要因となっているだけでなく、所得格差の拡大をもたらし、教育機会の不平等をも引き起こし、社会における不公平感の拡大と意欲格差の拡大をもたらし、犯罪の増大といった社会不安を引き起こす遠因ともなっている可能性を調べるため、独自のサーベイ調査を基礎としたマクロデータ分析を行った。この分析により、階層下落リスクを含む、所得階層間移動の状況と要因を分析した。また、教育投資行動に関するマイクロデータを収集し、どのようなタイプの労働者が非正規雇用といった不安定な就業上の地位になり、どのような労働者が低所得となるかを調べた。特に、高卒・大卒と言った学歴カテゴリーだけでなく、大卒労働者の中でも文系・理系によって、所得リスクの違いがどの程度存在しているかを明らかにしている。また、リスク社会の本質的な構造を明らかにするため、行動経済学の成果を取り入れながら、リスク回避行動と貯蓄行動との関連、リスク回避行動とパーソナリティとの関連について分析を行った。また、ジェンダー間でのリスクの差、高齢化社会での所得階層間格差拡大の問題等についても研究を進めた。また、介護保険制度が非効率性を生み出すリスクについても、研究を進め、政策的対応のあり方について提言を行った。 以上のように、本研究は、リスク社会の本質的構造を明らかにし、より本質的でかつ有効性の高い政策を提示する上で、多くの学術的成果を得ることができたと判断している。
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Research Products
(41 results)