2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代アメリカ労使関係の基盤形成過程に関する実証的研究
Project/Area Number |
21330091
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
橋場 俊展 三重大学, 人文学部, 准教授 (10364275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関口 定一 中央大学, 商学部, 教授 (20138613)
森川 章 名城大学, 経営学部, 教授 (20140022)
内田 一秀 札幌大学, 経営学部, 教授 (50140984)
百田 義治 駒澤大学, 経済学部, 教授 (90146754)
中川 誠士 福岡大学, 商学部, 教授 (80180248)
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Keywords | ニューディール型労使関係 / ウェルフェア・キャピタリズム / ヒューマン・リレーションズ / My Job Contest |
Research Abstract |
ニューディール型労使関係が名実ともに確立した1940~50年代期アメリカ主要企業の労務管理ならびに労使関係を歴史実証的に解明することが本研究の目的である。本年度も、各研究メンバーがGM、GE、デュポン、グッドイヤー、WEといった研究対象企業の管理・労働・労使関係について1次資料に基づきながら分析を進めた。こうした研究成果を持ち寄る形で、9月および3月の都合2回研究会を開催し、相互に意見交換を行い個々の研究の深化を図った。これとは別に、過去2年間に執り行った訪米調査で入手できなかった1次資料あるいは新たに必要性が生じたGM関係の資料を補充・収集する目的で8月に橋場がアメリカ出張に出向いた。昨年、論文としてまとめた'My Job Contest'なる取り組みに関わる新たな資料や提案制度に関する資料を入手できたことは大きな成果であった。次に、本年度が一連の研究の最終年度となることから、上記個別研究の成果を踏まえつつニューディール型労使関係をめぐる一般的理解の再評価を試みた。自動車産業やゴム産業については巷間言われるように極めて対抗的な労使関係が確認された。しかしながら、デュポン、GE、WE、シアーズ・ローバックの如き企業はウェルフェア・キャピタリズムの理念を堅持し、こうした労使関係とは一線を画していた。また自動車産業においてもGMがヒューマン・リレーションズに基づく施策を導入し、少なくない労働者の心をつかんでいた。こうした事実は、ニューディール型労使関係確立期のアメリカにあってなお労使関係および労務施策には多様性が認められること、したがってこの時期の同国労使関係をもっぱら自動車、鉄鋼、ゴムといった産業における経験のみを踏まえ紋切り型の理解で済ますことの限界を示唆するものといえる。
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Research Products
(8 results)