2011 Fiscal Year Annual Research Report
収斂化と差異化、変化と安定の二軸から探る企業間の人事システムの比較
Project/Area Number |
21330096
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
須田 敏子 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (70387992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八代 充史 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (40286620)
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Keywords | 組織フィールド / 人事制度の収斂化・差異化 / 人事制度の変化・安定 / 人事個別施策同士の補完性 / 制度環境と技術環境 / 制度化3要因 / 脱制度化 / 旧制度理論と新制度理論 |
Research Abstract |
主に制度社会学をベースとする制度組織論における組織フィールド(organizational field)に関するこれまでの研究を踏まえて、組織フィールドの単位として産業・業態レベルを設定。製薬産業・大手新薬メーカーと金融産業・大手証券会社という2つの組織フィールドにおける人事制度の収斂化・差異化、変化・安定の度合いと理由を分析しようというのが、本科研費研究の目的である。 調査手法はケーススタディ。大手新薬メーカー7社、大手証券会社5社を対象にケーススタディを行っている。2009年度~2011年度の3年間にわたる研究期間の中で、2009年度は理論的フレームワークの精緻化など主に理論面での研究を行い、2010年度はケーススタディを実施し、一時データ収集を行った。そして最終年度の2011年度はケーススタディで収集したデータをまとめ、数多い組織フィールドに関する理論・フレームワークなどからいくつかを選んで、分析を行った。 具体的に用いた理論・フレームワークは、技術環境(technical environment)・制度環境(institutional environment)からの分析(Scott and Meyerなどにより主張)、制度化3要因からの分析(Scott、DiMaggio and Powellなどにより主張)、脱制度化要因からの分析(Oliverのフレームワークを活用)、旧制度理論と新制度理論の組み合わせから制度変化を説明したGreenwood and Hingingsの制度変化のフレームワークなどからの分析を行い、4回にわたる学会報告において、その成果を報告した。 分析の中から、技術環境・制度環境からの分析の一部を取り上げると以下のとおり。新薬メーカーと大手証券会社の人事制度の収斂化・差異化度合を比較すると、新薬メーカーの収斂化度合が強かった。この結果を2つの産業・業態間の技術環境・制度環境から分析すると、新薬メーカーのほうが制度環境・技術環境ともに同一業態企業間の類似性が強いため、人事制度も収斂化しやすくなる。また新薬メーカーのほうが証券会社よりも制度環境が強く、本ケーススタディは技術環境・制度環境の強弱で人事制度を4つに分類したSherer and Leblebiciの主張を支持する結果となった。
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Research Products
(8 results)