2010 Fiscal Year Annual Research Report
移民の流入と統合過程-在日韓国・朝鮮人と日系ブラジル人の世代間生活史の比較分析
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21330120
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
稲月 正 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (00232512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 富夫 大阪立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30135040)
西村 雄郎 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (50164588)
近藤 敏夫 佛教大学, 社会学部, 准教授 (70225621)
西田 芳正 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (10254450)
山本 かほり 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (30295571)
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Keywords | 在日韓国・朝鮮人 / 日系ブラジル人 / 民族関係 / エスニシティ / 構造分析 / 世代間生活史 / ライフヒストリー / パネル調査 |
Research Abstract |
2010(平成22)年度は、以下の調査を行った。 第1は、在日韓国・朝鮮人家族に対する世代間生活史パネル調査である。平成8~10年度の科研費調査で対象とした4家族のメンバーについて、その後の変化を中心に生活史の聞き取りを行った。現在、再調査が可能と思われる53名のうち29名の世代間生活史が得られている。調査からは、民族儀礼の私事化・簡素化が見られる一方で家族を通して継承されたエスニシティの持続力の強さも確認された。また、社会関係におけるエスニックなものの効果は階層的地位や世代間社会移動の方向(上昇・下降)によって異なることが見いだされた。 第2は、西尾市、長浜市、呉市における日系ブラジル人家族に対する世代間生活史調査である。あわせて、各地域において人材派遣会社への聞き取り調査、支援組織への聞き取り調査も行った。これらを通して、日系ブラジル人の移動の経緯と現状やリーマンショック以後も帰国しなかった層の特徴等も明らかになってきた。また、民族関係の形成については、在日韓国・朝鮮人世代間生活史調査から得られた「バイパス結合」仮説が日系ブラジル人の場合にも妥当することが示唆された。2011年度は在日韓国・朝鮮人第1・第2世代との比較分析を進めたい。 第3は、ブラジルでの調査である。移住システムの把握と日系ブラジル人の世代間生活史(出身家族)の聞き取りのため、サンパウロ市、アラサツーバ市において聞き取り調査を行った。日本社会への適応は人的資本、経済的資本、社会関係資本によって基本的に決まると考えられる。日系ブラジル人の場合、全般的に社会関係資本(家族主義、相互主義)の弱さが見られる。また、人的資本の相対的な弱さも、出稼ぎを繰り返す層や「なし崩し的定着層」には見られる。それらは移住システムやブラジル経済の回復に伴う移動者の出身階層の変化とも関係しているように思われる。
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Research Products
(22 results)