2010 Fiscal Year Annual Research Report
冷戦期における米国の「広報外交」の実態とその評価法の解明
Project/Area Number |
21330123
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
井川 充雄 立教大学, 社会学部, 教授 (00283333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 盛彬 立教大学, 社会学部, 教授 (50308095)
清水 真 昭和女子大学, 人間社会学部, 専任講師 (30386445)
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Keywords | 社会学 / 冷戦 / アメリカ / 広報外交 |
Research Abstract |
本研究は、冷戦期にアメリカ合衆国が日本および韓国に対して行ったプロパガンダ活動、すなわち「広報外交」(Public Diplomacy)の実態を、国内外の資料に基づき、実証的に解明しようとするものである。 昨年度に引き続き本年度も、研究分担者以外に、連携研究者として小林聡明氏(東京大学大学院総合文化研究科学術研究員、メディア史・朝鮮半島地域研究)、研究協力者として吉田則昭氏(日本ABC協会・立教大学兼任講師、メディア史)の参加を得て、日本国内の他、韓国およびアメリカ合衆国において資料収集を進めた。また、2010年9月9日には、高麗大学(韓国、ソウル)において、「第1回東アジア比較文化研究会学術シンポジウム」を同大学日本研究センターなどと共催し、韓国の研究者との交流を図った。さらに、2011年3月5日には、東京大学において、国際シンポジウム「占領期・ポスト占領期の視聴覚メディアと受容-民主化・冷戦・モダニティ」を同大学大学院情報学環などと共催し、内外の研究者との討論を行った。 その結果、アメリカの「広報外交」が様々な調査活動を伴って展開されてきたことが、実証的に明らかになった。とくに、USIS東京は、アメリカの広報活動、プロパガンダ活動の成果を測定するために、「世論バロメーター」調査と呼ばれる世論調査を日本国内で頻繁に行った。これは調査主題として米・ソ・中国に関する国際情勢全般を扱ったもので、アメリカが核問題や米軍基地の問題に大きな関心を払っていたことがわかる。 アメリカでは冷戦にさまざまな形で社会科学者たちが「参戦」し、アメリカの勝利に寄与しようとした。他方、旧東欧諸国でも、かつてのプロパガンダ的なメディアシステムが残存している。今後さらに、そうしたメディアと冷戦の関係について解明したい。
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