2010 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニティによる災害文化生成に関する環境社会学的研究
Project/Area Number |
21330130
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
古川 彰 関西学院大学, 社会学部, 教授 (90199422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥越 皓之 早稲田大学, 人間関係学部, 教授 (80097873)
菅 豊 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (90235846)
宮内 泰介 北海道大学, 文学研究科, 教授 (50222328)
鬼頭 秀一 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (40169892)
松田 素二 京都大学, 文学研究科, 教授 (50173852)
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Keywords | 小さな共同体 / 災害文化 / ローカルな知 / 河川(流域) / 生活史 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、共同体が、自らが経験してきた災害現象を、いかにして、予防・対処・記憶・継承することで災害の文化へと変換するかについて、代表者らが長期にわたってかかわってきた琵琶湖北西岸のコミュニティで270年にわたって連綿と書き綴られてきた「村の日記」およびその膨大な関連史料を共通のプラットホームにして、それぞれのメンバーが長期に関わってきたフィールドでのインテンシィブなフィールドワークに基づいて研究を進めた。 2年目の2010年度は、昨年度と同様に、1)これまでの自然災害や水害にかかわる研究レビューを行い、文献リストの整理とそのDB化を進めた。特に、文化人類学、生態人類学、文学などの自然系の水害研究以外の社会科学的、人文学的な水害研究の文献を重視し、そこでの研究の論理の分析をおこなった。また、2)各自のフィールドデータを災害文化という視点で読み直すと共に調査を継続し、在地における災害データを収集した。具体的には、プロジェクトで共有する「村の日記」のうち1745年から1948年分の災害に関連する部分から災害の状況、対処、復興プロセスなどの整理を行った。矢作川流域の枝下用水を事例に、1880年から1945年の河川における災害についても同様の作業を行った。3)メンバーそれぞれのフィールドにおいて、主に災害文化の生成プロセスがどのように共同体の個別的特性と関わるかを共通のテーマとして、災害の経験についての調査を実施した。4)さらに、今後の比較研究を視野に入れて、中国、タイ、ネパールなどにおいて、日本国内における調査手法で災害文化生成についての予備的調査に着手した。
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