2009 Fiscal Year Annual Research Report
養老院・養老施設における処遇(ケア)の特質に関する研究
Project/Area Number |
21330140
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
岡本 多喜子 Meiji Gakuin University, 社会学部, 教授 (20142648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 律子 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (00172461)
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Keywords | 社会福祉関係 / 社会福祉史 / 老人福祉施設史 / 処遇(ケア)の変遷 / ララ物資 / CAC |
Research Abstract |
本年度は、府中静和寮(広島県府中市)、報恩積善会(岡山市)、神戸老人ホーム(神戸市)、共楽荘(横須賀市)、静山荘(軽井沢町)、小樽育成院(小樽市)の資料収集を行った。これらの施設のうち、資料の収集を終了できたのは、神戸老人ホームと報恩積善会である。これらの施設に加え、すでに資料収集をした浴風園、福生園、一志養老院の資料の分析を行った。 戦前の養老院時代では、浴風園を中心として利用者の処遇記録の読み起こしを行う中で、時代とともに変化する入所者像が明らかにされつつある。また戦後の養老施設時代では、これまで明確化されてこなかった社会福祉法人の定款などが決められる過程、ララ物資やCACが具体的に個々の施設でどのように配分され、使用されたかなども明らかになりつつある。ララ物資に絡んだ刑事事件に巻き込まれた施設もあり、この施設の資料からは、昭和20年代から30年代前半に養老施設が地域社会からどのように見られていたかを知る手がかりにもなる資料である。 このように個別養老施設の資料収集・分析だけではなく、地域が異なる複数の施設の同じような時代の資料を収集することで、日本における養老事業がどの程度まで類似性を持っていたのか、地域の独自性が発揮されていたのかを知ることができる。これは従来の個別施設の歴史からは知ることのできない貴重な知見である。 また、戦前の植民地であった中国東北部、台湾、韓国の養老事業と日本の養老事業との関連を示す資料を発見することができた。これまで旧植民地での養老院がどのように展開され、日本の影響を受けていたかを示す研究はほとんどなされていない。この点でも、本年度の資料収集の成果として大きいものがあるといえる
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Research Products
(2 results)