2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳・認知機能測定によるエビデンスに基づく認知行動療法の治療技法選択に関する研究
Project/Area Number |
21330161
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
近江 政雄 金沢工業大学, 情報学部, 教授 (70016616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 健介 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (90319038)
伊丸岡 俊秀 金沢工業大学, 情報学部, 准教授 (20387351)
松本 圭 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (40367446)
國見 充展 金沢工業大学, 感動デザイン工学研究所, 特別研究員 (70460384)
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Keywords | 認知行動療法 / 治療技法選択 / 脳・認知機能測定 / 社交不安障害 / 発達障害 |
Research Abstract |
平成23年度は、平成22年度に引き続き、社交不安、および、発達障害を有する実験参加者を対象に、感情認知パラダイムによる横断的研究と、認知行動療法(以下、CBTとする)による介入にともなう認知機能・脳機能の変化の計測を行った。 NIRSを用いた脳機能計測では、前年度までの横断的研究に加え、約15名の実験参加者を対象に集団認知行動療法の介入前後でのNIRS応答のパタンの比較を行った。平成22年度同様、介入前後で有意な不安、抑うつの低下、プレゼンに対する自己評価の上昇が見られた。さらに平成22、23年度の全実験参加者の介入前後でのNIRSの応答を比較したところ、介入前の時点では高社交不安者にスピーチ前後での前頭の過活動が見られたが、それが介入後には低社交不安者と同程度まで低下した。これはCBTが脳機能の変化をも生じさせている証拠であると考えられる。 fMRIを用いた研究では、行動目標である脅威刺激の処理に関わる脳内部位の特定および、当該領域の活動量に実験参加者の社交不安の強さが与える影響を調べてきた。その結果、社交不安の強さは情動処理を担う扁桃体の活動量とは正の相関を示すのに対し、情動処理を制御するための領域と考えられる前頭前皮質の活動量とは負の相関を示すことが分かった。これらの結果は、不安が高い実験参加者には脅威関連刺激の処理を回避する傾向があることを示すと考えられる。 発達障害のある児童・生徒を対象とした研究については、平成23年度は、読み障害のある児童と、読み障害はないが算数障害のある児童の眼球運動の計測を行った。この結果、読み障害の児童は、大学生と比べて、平均視線停留時間や平均視線移動距離において長く、平均視線移動回数において多くなる傾向が見られた。また文章の種類によっても違いがあるため、この結果を支援・教材に活用することが考えられる。
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