2011 Fiscal Year Annual Research Report
高校生の職業観形成に関する比較教育文化的研究-日本と5か国における育て方
Project/Area Number |
21330176
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
寺田 盛紀 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (80197805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 節男 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (10172678)
高井 次郎 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (00254269)
清水 和秋 関西大学, 社会学部, 教授 (40140248)
佐藤 史人 和歌山大学, 教育学部, 教授 (80324375)
西野 真由美 国立教育政策研究所, 基礎研究部, 研究員 (40218178)
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Keywords | 職業観 / キャリア教育 / 高校生 / 国際比較 |
Research Abstract |
2009年に日本、アメリカ、ドイツ、中国、韓国、インドネシアのすべての国で、高校1年生(10年次生)約2000人に対して進路選択と職業観に関するアンケート調査を実施したが、2年後の本年度は同じ生徒、約1500名に対して同じ調査を実施した。膨大なデータであるため、なお、集計・解析中であるが、以下のことが概ね判明している。まず、もちろん、2年間の間に希望進路・職業が相当に変化していること、また、職業観の中身に関しては、2年前の調査とほぼ同じ因子である「社会志向」「経済志向」「リーダー志向」「自己実現志向」が抽出されたけれども、その構成がよりリアルな「経済志向」などの側面が強くなっていること、それら進路選択や職業観の形成を促進する要因として、キャリアモデル(両親、教師、先輩、実習やアルバイト先の上司など)の有無、職業教育、インターンシップ・企業実習、普通教科の学習などの影響が見られた。学校外の活動では、当然と言うべきであるけれども、家庭での仕事の豊富な経験がより積極的に作用していることこ明らかになった。さらに、国別に見ると、これらの傾向は単純に一様の傾向を示さず、たとえばインターンシップの先進国であるアメリカやドイツでさえ、生徒はそれほどそのような体験を肯定的に評価しているわけでもないことも解明された。このようなことから考えると職業観形成には各国の共通のメカニズムが存在するものの、むしろそれぞれ異なった影響因子やその組み合わせが指摘されること、またそれらは、キャリア教育や職業教育をに対して各国がどこまで学校化するか、という教育文化的構造に依存することが浮かびあがった。このことは、本研究が解明しようとしたことに対する主要な目的に添うものであった。
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