2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21330187
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
本多 正人 National Institute for Educational Policy Research, 教育政策・評価研究部, 総括研究官 (90282623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竺沙 知章 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (60243341)
末富 芳 日本大学, 文理学部, 准教授 (40363296)
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Keywords | 学校財務 / 教育財政 / 教育政策 / 学校運営経費 / 予算執行 / 学校財政 / 費用算定 / 教育改革 |
Research Abstract |
大阪市や新潟市等の学校配当予算執行手続きに関する制度改革の動向について資料収集を行ない,近年の改革動向として大都市では学校の財務権限の拡充が課題となっていることを確認した。東日本調査においては,静岡県内の小中学校における経費分類の事例を集め,一般的には人件費が75%程度を占めること,また小規模学校は人件費が占める比率が高くなることが確認できた。人件費を含めた支出区分の事例はあまり知られていない中で,たとえば東京23区内の学校についての学校運営経費の試算を行なった経団連の推計(日本経済団体連合会『義務教育改革についての提言』2006年4月18日)などのような他の推計との比較可能性にも発展しうるものである。また神奈川県の大都市自治体における市立小中学校財務データの収集を依頼し,教科別及び活動別の学校運営経費分析をするための予備的作業を行なった。教科別・活動別といった今後のあらたな学校財務データ分析のための枠組みを構築するための基礎資料を収集できた。 西日本調査では,学校の予算執行権限の拡充等について特徴ある改革を実施している宮崎県小林市等を事例としてとりあげ,教育改革戦略における学校財務の重要性に注目した訪問調査を実施し,教育改革に寄与する学校財務の在り方についての要素を抽出することに努めた。これまでの教育改革論議の中で見過されがちであった学校財務の側面に焦点をあてた事例研究は日本に於いてはあまり例がなく,貴重な質的データを収集した。なお,これらの知見を理論的に位置づけるため,アメリカ・ヨーロッパ諸国の学校財政・学校財務に関する文献資料に基づく研究も重ねた。とくにアメリカ学校財政・学校財務研究における費用算定(costing out)研究の手法が学校財政制度改革に及ぼしている影響等にも言及したレビューはこれまで日本ではほとんど紹介されたことがなく,日本教育行政学会の課題研究報告として報告した。
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