2010 Fiscal Year Annual Research Report
国際学力競争におけるグローバル・ガバナンスの実相の比較研究-PISAを事例として
Project/Area Number |
21330191
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
二宮 皓 放送大学, 広島学習センター, 所長 (70000031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 徳友 九州女子大学, 共通教育機構, 教授 (10091224)
金 龍哲 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (20274029)
藤井 泰 松山大学, 経営学部, 教授 (80148783)
佐々木 司 山口大学, 教育学部, 准教授 (30263651)
石田 憲一 長崎純心大学, 人文学部, 教授 (50284138)
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Keywords | グローバル・ガバナンス / 比較教育学 / 国際研究者交流 / 多国籍 / PISA / 初等・中等教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「グローバル化や市場化が急速に進む中、グローバル・アクターが、各国の高等教育のあり方のみならず、従来は国民教育の基本であることを念頭に考えられてきた義務教育の内容に影響を与えるファクターとなっており、その結果、国家の主権に多大な影響を及ぼすことになる新たなるグローバル・ガバナンスが出現し、従来のガバナンスの影響の実相が変化している」という仮説を、PISAを事例として検証し、さらに「グローバル・ガバナンスの影響で義務教育の内容や仕組みがどのように実体的に変容することになるのか」を解明することにある。 平成22年度は、当初の計画通り精力的に現地調査を行った。PISAが各国の義務教育政策にどのような性質のインパクトをどの程度与えたかについて、中国(上海)、シンガポール、フランス、アメリカ、デンマーク、ドイツ、ポーランド及びOECDの6国1地域1機関を対象として、PISA責任者、研究者、学校関係者に面接調査した。その結果、各国の非常に興味深い実態に迫ることができたと同時に、比較研究に必要な共通分析枠組みの理解が深まった。さらに、学会での発表および研究会での活発な討議を重ね、グローバル・ガバナンスの理論モデルの構築へと議論を進めた。 その一端をまとめるとPISAの創出と統治のプロセスを次のように描くことができる。1)OECDは、各国・地域に存在するニーズを吸い上げそれに適した「指標」(規範)作成・提示した=PISA、2)各国・地域の中央教育関係者のみならず、教育に関する多様な周辺団体がそれを活用・利用し、教育政策・世論を形作っていく、3)相乗効果的にPISAをベンチマークとする動きが「外圧的」「内圧的」に高まり、多様な形でその影響がみえてくる、という「緩やかな」統治プロセスである。
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Research Products
(10 results)