2011 Fiscal Year Annual Research Report
RTIモデルによる学習障害の就学後早期発見と指導法の開発に関する縦断的研究
Project/Area Number |
21330213
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小枝 達也 鳥取大学, 地域学部, 教授 (70225390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 あゆみ 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (10304221)
田中 大介 鳥取大学, 地域学部, 助教 (20547947)
内山 仁志 鳥取大学, 地域学部, 助教 (60348604)
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Keywords | 学習障害 / ディスレクシア / 早期発見 / RTIモデル / 解読指導 |
Research Abstract |
本研究ではRTIモデルを導入して、就学後早期に文字の読み書きや算数に困難がある学童を抽出し、特別な教育支援を提供して、就学後に早期発見する方法の開発と、その効果や反応を縦断的に追跡することによって検証し、効果的な教育的指導法を開発することを目的としている。 平成23年度は、平成22年度に行った調査により平仮名の音読に困難があると判定された児童を対象に、平仮名文字とその読みとを対応させる解読指導を実施して、その効果を検証する研究を実施した。また、新しく開発した平仮名の直音音読検査により、教育現場において平仮名音読が困難な児童を選出することができるかという、実行性に関する検証を行った。さらに、読字課題を用いた機能的MRI検査に着手した。 (1)解読指導の効果検証 対象児は平成22年度の調査で音読に困難があると判定された39名である。解読指導を行う19名(指導群)と行わない20名(対照群)の2群に分け、パーソナルコンピューター上で操作する音読指導プログラムを作成し、解読指導の効果を検証した。指導は、1日5分で3週間実施した。期間と指導の2要因分散分析を行ったところ、音読時間に期間の主効果と期間と指導の交互作用が認められた。すなわち、対照群も音読時間が短縮したが、指導群ではそれ以上に音読時間が短縮したという結果が得られた。さらに、対照群20名の中で音読指導を希望する10名に対して、音読指導を行った。単音連続読み検査にて効果を判定したところ、指導の前後で誤読数が有意に減少した(t検定)。 (2)学校における実行性の検証 12の小学校から協力を得て、557名を対象に7月、12月、3月の3回にわたって音読検査を実施した。その結果、42名の音読に困難がある児童を選出することができた。音読検査も教師によって実施することができた。ディスレクシア疑いあるいは診断される児童の出現頻度を調査し、暫定基準の見直しを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
一般の小学校において、平仮名の音読検査を複数回にわたって実施することは、困難であろうと予測していたが、研究に参加した12の小学校すべてにおいて実施が可能であった。開発した直音音読検査が簡便であったことと、教育現場のニーズが高いことが要因と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に選出した平仮名音読に困難がある児童に対して、音読指導プログラムを実施して、改善の状態を調査する。改善が不十分な場合には、次の指導ステップである語彙指導を行う。語彙指導が必要な児童の割合を見出すことを目的として研究を進める。語彙指導の効果検証も今後の課題である。
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Research Products
(11 results)